第605話 ゲンベラン領主代行2
ラーフェン王国の国境の街ゲンベランの領主代行は、事前情報の通り温和な感じの人であり少しホッとしながら会話を進めるジェロ。
「すでにご存知のことかと思いますが、テルガニ様はラーフェン王国からも伯爵の叙爵(じょしゃく)と合わせて、領地を与えられております。ご活躍には見合っていない内容で申し訳ないが、と王弟ルネリエル様からの伝言でございます。また追々に、との追加の伝言も預かっておりますが、詳細は分かりません」
「いえ、すでに王都ジークセンで報奨を頂いていたのに追加を頂戴して恐縮の限りです」
「そしてこちらが領地の地図になります」
コンヴィル王国の王都ミューコンで見たときよりも詳細な地図であった。ラーフェン王国内部分だけであるが、今いるゲンベランから北側、レジスタンス達が拠点にしていた廃村の位置や国境の場所もよく分かる。
「また、合わせて下賜される戦争奴隷100人はこの廃村で待機しております。奴隷契約の主人の変更のために奴隷商人が同行の上で引き渡しさせていただきます」
「はい、承知しました」
「今晩はこちらの館でぜひお泊まりいただき、当時のご活躍のお話をお聞かせください。王国解放の英雄とお話しできること、親戚、知人への自慢話にさせて頂きたく。ご家臣の皆様もご一緒に」
とても断れる流れでもなく付き合うのだが、その飲食の際などはレナルマンが如才なく話を繋げてくれたおかげでその場は乗り切ることができた。
翌朝には役人と奴隷商人が付き添い廃村に移動する。立場的にジェロも貴族の馬車のままであるが、アンデッド退治で夜に訪れた際と、戦時中に外交使節団を帝国軍から守りながら逃げ込んだ際の記憶が蘇ってくる。平和になっての移動であることを噛み締める。
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