第556話 魔道具製作

挨拶まわりや新居向けの諸々の購入が落ち着いたジェロ主従。

家臣達は家族との時間などを過ごした後は、屋敷の北東部の空き地で訓練をしている。


ジェロも誰にも気兼ねすることないよう目隠しされたこの空き地で、最近入手した≪石人≫や≪根縛≫の魔法の練習もするが、やはり魔道具製作のための≪刻石≫に注力している。


『これ、面白いね』

『そういうものかしらね』

まずは良くある≪灯り≫の魔道具の製作を開始したのである。初級光魔法の≪灯り≫を魔石の魔力で発動する魔道具であり、貴族や豪商などはいくつも所有しているらしいものである。

かなり小さな魔石に、この≪刻石≫魔法で魔法陣を刻めるのも楽しく、刻めたものを≪望遠≫魔法で確認しているのである。手作業ではあり得ないほど細かく、魔銀(ミスリル)で魔法陣が刻み込まれている。


見本として購入してきた≪灯り≫魔道具では、エネルギー源としての交換できる魔石と、意図するときだけ点灯するためのスイッチが組み合わさっていた。原理は分かったが、それらの工夫よりも、前世の懐中電灯のように光を効率的に反射させるための銀色金属で覆う工夫などを独自に実施する方が楽しかった。


練習で製作した少々不格好でも便利な≪灯り≫魔道具を、屋敷の本邸、従業員棟やイド達の家、そして孤児院のあちこちに配れるくらい作った後は、それより強力な≪照明≫魔道具を食堂などの広間に設置する。さらに≪水生成≫や≪熱湯≫の魔道具を台所や風呂場などの水場に、洗濯物を乾かすための≪乾燥≫魔道具も部屋干しするための部屋に配ってまわり、食糧庫の一部には≪氷生成≫魔道具で冷蔵室にしてある。


「ジェロ様、こんなに家事を便利にして頂くと、孤児達の家事訓練になりません」

イドとレナルマンの奥さん達から感謝と苦言があり、苦笑いしてしまう。

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