第530話 王都ジークセンへの帰還2

ドナシアンの処遇の後、皆の視線が自然と集まったのはジェロである。

「え?私ですか?私ももちろん帰りますよ。ガニーに」

ホッとする顔のフェリック王太子ではあるが、ルネリエル王弟が割り込んでくる。


「テルガニ子爵、ユニオール皇国からも冷遇しないとお誘いがありましたが、我々ラーフェン王国はあなた様のおかげでここまで来られたと感謝しております。子爵や伯爵などつまらない爵位ではない待遇を考えておりますがいかがでしょうか?」

ルネリエルはモーネを指すような仕草を含めて、説いてくる。


「いや、我々コンヴィル王国も冷遇するつもりは無いので、ご心配なく」

と慌ててフェリック王太子が発言するが、

「テルガニ子爵、どうかこのモーネを、そしてヒルデリンを引き続きご支援いただけないでしょうか」

とモーネ王女も発声し、腕をつかんでくる。


『モテモテね』

『いや、普通に帰るでしょ?長く留守にしていたのだし』

『はぁ』

「いえ、ガニーには造りかけだった屋敷もありますし、仲間達の家族も置いて来ましたので帰りますね」


ではせめて、と国家間の貸し借りではないお礼として、ジェロに対する報奨を帰国までに、との話になる。

ジェロが喜ぶものは、一番は古代魔術の魔法カード、それ以外として一般の魔法カードや魔導書などの魔法関係、ということをユゲットから聞いていたモーネはその旨をルネリエルにも共有する。

「私は騎士団であり、魔術師団の所掌範囲は詳しくありませんが、帝国の搾取からどの程度の物が残っているか探させます」

と言うだけでなく、鑑定能力があるというジェロに、宝物庫でめぼしい欲しい物があるか確認して貰えば良いとも返事をしている。

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