第425話 ルージャンでの合流3
ベルカイム王国が、皇国と帝国の間で蝙蝠のように振る舞うことを目論んでいる可能性に言及するムラン伯爵。
「でもそれでは」
「そうだ。ラーフェン王国のことは占拠されたままの方が良いということだ」
厚い化粧ではあってもモーネ王女の顔が曇ったのが分かったジェロが言葉に出すが、肯定されてしまう。
「しかし、それは諸刃(もろは)の剣かもしれないですよね。逆に小国のまま生かしておく必要がないと判断した帝国に攻め入られる可能性も」
「だからこそ、態度を決めきれずに議論が続いているのだろうな」
モヤモヤした気持ちが晴れぬまま、この後の相談に移る。
まずは今の宿を引き払い、ムラン伯爵達が用意していた別の高級宿にモーネ王女と一緒に移動することになる。その時点でモーネ王女は非美人化の化粧を落とすことになる。
そして、コンヴィル王国とラーフェン王国の合同での外交使節団として改めて王城に登城して共同戦線の依頼をする。
答えは期待できないが、まず手順として一つ一つ前に進めるのである。
ルグミーヌ王国でもそうであったが、何か手掛かりでも得られる可能性もある。
「テルガニ子爵!」
色々が終わったところで、モージャン子爵の令嬢ユゲットが声をかけてくる。
「ユゲット様、ジャクロエ様。ヒルデリン王子と共にいらしたのですか?」
「また。呼び捨てで結構ですと申し上げていますのに。でもお変わりなさそうで良かったです。もちろん見覚えのある立派な黒色の、テルガニ子爵の紋章入り馬車が目印になったのもありますが、魔法カードのコレクターという噂は広まっていたおかげですぐに合流ができました」
「やっぱり!ジェロ様!」
「まぁ結果が良かったのでよろしいのですが。またご一緒できますね。よろしくお願いします」
「はぁ、こちらこそお願いします……」
『お願いの内容は何かしらね』
『言うなよ……』
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