第383話 使節団員救出作戦2

「よし、まず1台!」

コンスタンが力任せに、イドが御者になった馬車を川の上の≪氷壁≫に落としてくれて流れができる。

「よし、次!」

魔法が使えないジュリユーも御者になっており、次の馬車を橋から下ろしている。

「コンスタン、先に行け!」

コンスタンは御者の役割より馬車を落とす方を優先していたが、半分の馬車が終わったので予定の御者をさせる。

馬車が2台も居なくなると橋上で立っている者が明確になってきて、生き残っている帝国兵が人だけでなく馬へも見境なく切り掛かってくる。

「逃すか!」

「逃げるさ!」

ジョジョゼが帝国兵の剣を防いだところにアルマティが≪火槍≫で支援に入る。

馬車の3台目が橋の下に降りたところで帝国兵は≪石壁≫の向こうの≪夜霧≫の中でも動く者は居なくなったようである。


「おーい、皆、大丈夫か?怪我は治すよ」

治りきっていなかったエヴラウルに回復魔法を発動しながら周りを確認する。

「いえ、全員なんとか。それよりも帝国兵がやはり少なかったですね」

「罠かなとも不安だったんだけど。これならこんな面倒な手段でなくても良かったですかね」

「いや、少しでも安全な方法で行けたから良かっただろう。一息つきたいところだが、手分けして作業をしよう。まずは馬車の中の使節団員の拘束を外して、川に落とす無茶をしたので怪我人が居ないかを確認。そして帝国兵の装備は偽装に使えるかもしれないので、全て奪って魔法の袋に回収。死体はかわいそうだが川に流そう」

「かしこまりました!」

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