第346話 ガニーの後始末

ジェロ達は、モージャンのダンジョン探索を一日中行なった後、そのままガニーにまで駆けて飛んで来て、帝国兵や魔人と戦闘続き、そして昼まで治療行為などを行なっていたのである。正直夕方まで寝たのでは足らないはずであるが、一度目が覚めると最低限の疲労回復より気になることの方が優先になる。

「フロ姉達を閉じ込めたままだった!」

ジェロの部屋の前で交代見張りをしていたのであろう、アルマティに気づかれる。

「ごめん、孤児院に行ってくる」

「1人はダメですよ!敵が残っているかもしれないですし。皆さんを起こしてきます!」

結局アルマティが一番近かったマドロールを起こしたところでアルマティとだけ馬に乗って孤児院に向かう。


『ジェロ、起きたから言うけれど魂は貰っておいたからね。ハポリエルも自身が倒した相手のは』

『まぁそうだよな。俺、一体何人殺したんだろう』

『言わないであげるわよ』


神殿では住民が集まって大広間の前の石壁を崩そうとしていたので、すみません、と割って入り、≪石壁≫を消滅させる。慌てて中に入るが誰も居ない。

「ジェロ?ジェロ!大丈夫だったの?」

フロラリーが騒動を聞きつけてやってくる。

「フロ姉、閉じ込めてごめん……」

「あら、向こう側の通路はそのままだったから困っていないわよ。焦っていたのね」

「あ!」

「それよりもジェロは大丈夫だったの?活躍した魔法使いってジェロよね?どこも怪我をしていない?私たちのことも助けてくれてありがとうね。こっちに来て」

孤児院で皆が集まっている方に連れて行かれる間に、神殿、孤児院では他に被害者は居なかったことも確認できてホッとする。拘束した帝国兵は昼間に領兵に引き渡したらしい。

「ジェロマンさんが来られなかったら、我々はあの帝国兵にどうされていたか……本当にありがとうございました」

司祭ローランスの言葉には照れくさく、皆の無事が確認できれば≪石壁≫の後始末だけして宿屋に戻る。

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