第344話 魔人アズキアス
門から飛んできた≪氷槍≫はジェロが動くより先にヴァルが≪結界≫を発動して弾いてくれる。ふと我に帰ると空がうっすら明るくなって来ている。
「お前は何者だ!」
肩から下は黒ローブの、左右のこめかみより上あたりに角がある男が叫んでくる。
「魔人風情に名乗る名前は無い!」
『あれが魔人アズキアスね』
「ほぅ、大層な口を。それだけの魔法を使える、刀を差した革鎧の男。お前がヘモスやセパルを殺したのかぁ!」
「あぁ?そのどちらかが、あの頭の足りない魔人のことか?」
「貴様、許さん!リバイモン、行くぞ!」
普通の人間サイズなのに背中に蝙蝠のような翼の男が近くに現れて、アズキアスと共にジェロの高さまで≪飛翔≫の速さで上がってくると、2人で≪氷槍≫を乱発してくる。
「馬鹿の一つ覚えだな」
引き続き挑発は行い≪結界≫を発動するか≪飛翔≫もしくは体術≪回避≫で避けながら、こちらからもヴァルと手分けして≪火槍≫≪雷撃≫を発動するが、相手も≪結界≫や≪飛翔≫で回避している。隙を見て≪光爆≫で一瞬怯ませたところで風魔法との複合の自作魔法≪氷結・改≫を発動させる。
「何だこの≪氷結≫の威力は!しかも≪魔法消滅≫が効かぬ?」
「魔人風情には分からんだろうな」
『挑発が単調よ』
『うるさい、もういっぱいなんだよ』
さらに複数回≪氷結・改≫を発動して完全にアズキアスを拘束しておく。ラーフェン王国の国王を殺害した魔人と思われるので様々な情報を吐かせたいところであるが、悪魔が健在なのでいつ逃がされるか不安が残る。
『アズキアスを人質に、その刀で悪魔の首を刎ねたらいいわ。しばらくはこの次元に戻って来られないわよ』
ヴァルのアドバイス通りに悪魔リバイモンの首を刎ねたのだが、その直前、
「まさかお前の悪魔は!」
と気になる発言があった。そのまま拘束したアズキアスを連れて地上に降りた頃には既に周りはすっかり明るくなっていた。
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