第342話 孤児院の惨状
「フロ姉!」
「司祭様!」
子供達がフロラリーとローランスに駆け寄る声で我に返り、
「ちょっと待ってね」
と2人に≪王回復≫を何度か発動する。
「皆は大丈夫かい?怪我はしていない?」
「うん、フロ姉と司祭様が守ってくれたよ」
「何だお前は!」
「うるさい!」
流石に子供の前で首を刎ねるのはまずいと思いとどまることは出来たので、魔法の袋からロープを取り出して猿ぐつわをした上で体も縛りつけておく。
その間にローランスとフロラリーは意識を取り戻したようである。
「ジェロ、どうしてここに。いえ、助けてくれてありがとう。でもここはもう大丈夫です。街はどうなっていますか?そちらもお願いします」
こんな状態でも他を気にするフロラリーに呆れる。
「しばらくはこの大広間に隠れていてくださいね」
「ジェロマンさん、本当にありがとうございました。はい、子供達を隠しておきます」
『この2人は街に出て行ってしまいそうだな』
「出てきてはダメですよ」
「?ジェロ?」
大広間の扉の外で≪石壁≫を発動して塞いでしまう。目に入ったいくつかの窓の前にも地面から≪石壁≫を生えさせて塞いでおく。
「出てこないでくださいよ。街もこれから行きますから!」
次に知り合いが多い場所である冒険者ギルドに向かい、その前に帝国兵がまだ残っているのを確認する。近くの上空から見下ろすと、ギルドの屋上や窓から道路の兵士たちに弓矢や魔法を放つ冒険者や職員が居る。ギルド職員達は在庫の魔法カードを使用しているのか、魔法を使えないはずの人が魔法を発動しているのも見える。
反対に地上からも弓矢で反撃をしている。入り口には大剣や斧などで壊そうとしている兵達も群がっている。
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