第326話 ユゲット嬢とギャストル王子の企み2

唐突にギャストルからモーネ達の護衛任務の解除を宣言されたジェロ。

「……かしこまりました。ところで婚約相手はモーネ王女殿下となりますが、ヒルデリン王子殿下は如何なりましょうか」

「ふん。ヒルデリン王子は義理の弟になるので、そちらもコンヴィル王国の護衛対象として同行すれば良かろう」

「はは。では私は王都に戻ればよろしいのでしょうか」

「戻りたければ戻れば良いし、ここモージャンに居ても出身のガニーに行っても好きにすれば良い」

「かしこまりました」


「え!テルガニ子爵!」

「モーネ王女、あんな奴より優秀な護衛が既におるぞ。なぁダンビエ」

「はい、我等、王国騎士団は魔法使いなどに遅れをとりませんぞ。魔法使いがご希望であれば王国魔術師団もおります。どうぞご安心ください」

モーネもそれ以上は立場的に口出し出来ないことをわかっているのと、ヒルデリンはまだまだ子供で大人しい性格でありこのような場所で何か発言できる程の気概はない。


ギャストルの身振りで退出を促されたジェロ達は広間から出ていく。その間際に聞こえたのは

「オンハルト王太子も義理の兄になる。前線の戦況も見て実態を知ってからベルカイム王国に向かった方が交渉もやり易くなるであろう?なぁ、ムラン伯爵、カルカイム子爵」

と言うギャストルの言葉であった。

外交官の2人の返事までは聞こえなかったが、モージャンへの道中でもギャストルの発言を否定する様子は無かったので、そのまま従っているものだと思われる。


流石にモーネ達には挨拶すべきと、広間の話が終わるのを領主館の一室で待機しているジェロ。イドとレナルマンも驚きとジェロの気持ちを慮ってのため、言葉は出さずに共に待機している。

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