第253話 魔人セパル

「ムスターデ帝国と連携してこの国に来ていたということでいいのか?」

「だったらどうだというのだ?」

「こちら側に着くならば命を助けてやっても良いぞ。力の差は理解しただろう?」

「人間風情に命乞いをするつもりは無い!」

「お前はどうだ?コウモリの姿のまま死ぬか?」

「セパル様を助けて貰えるならどうなっても良い」

「アリジズ、人間に媚びを売るな!」

「セパル様……」


『なんだか俺の方が悪者みたいだな』

今取り上げられる限りの装備を外し、再度≪氷結≫で拘束を強めた上で≪結界≫にて閉じ込めておいてからイドたちの方に支援に戻ろうとしたところで、イドたちがやってくる。

「え?大丈夫だったのですか?」

「最後にレイスも消えたのでこちらで何かされたのかと」

「あぁ」

「この魔剣と教えて頂いて魔法で倒せたレイスも居ます。ありがとうございました」

と日本刀を返される。適度な重みが腰に戻って来て安心する。

「ジェロマン様こそ、大丈夫ですか?これは魔人とヴァンパイアですか?こいつらをお一人で倒されるなど、流石でございます」

「ところで、これでこいつ等は逃げられないのですか?」

「うーん、今のところは、かな?」

「従魔契約ができるわけでもないですよね。隙をみて反撃されたり逃げられたりと困りますのでやってしまいましょう」


「ふん、情けなど不要。さっさと殺せ」

『もう良いんじゃない?これ以上は情報を吐かないわよ、きっと』

ジェロがヴァルの依代である日本刀でセパルとアリジズにとどめをさして、身辺を探る。アリジズは変化が解けたのか、コウモリの姿から人型になっている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る