第180話 魔人との交渉2
「ジェロさん、大丈夫ですか!?」
魔法攻撃を直接くらっていないが、気を張っての交渉で精神的にいっぱいであったジェロはその場に座り込む。
「はい、何とか……皆さんの拘束は少し待ってください」
『はい、はい。解除しておくわね』
『ヴァル、ありがとう』
過去に魔人との対決を一度は見ていた“ジェロ班”のメンバは何とかジェロの近くに寄って来られたが、他のメンバは最後のジェロの火魔法でローブが焼け落ちて角が見えた魔人の姿に対して驚いている。
「あれが魔人……お父様を殺めた魔人の仲間……」
「やはりラーフェン王国の陥落時に魔人が居たという噂は本当だったのね……これは大変なことになるわね」
「魔人を撃退するジェロさん、これは想像以上の将来になりますね……」
近寄って来た“ジェロ班”のメンバが小声で聞いてくる。
「やはりあの時の生き残りですか?」
「そうだったみたいです」
「我々は二度もあの魔人からジェロさんに助けられたということですね」
「ジェロさん、一生ついていきます!」
リスチーヌがジェロに抱き着いてくるが、座り込んでいたジェロは受けきれずに一緒に倒れ込む。
「リスチーヌ、ふざけすぎだ!ジェロさんは大変な戦闘をこなされた後だぞ!」
気持ちの糸が切れたジェロはまともに歩けず、“ジェロ班”のパワー、両手剣持ちのコンスタンの肩を借りて馬車群にまで戻る。
「ジェロさん、ありがとうございます。我々モージャン騎士団のみではきっと王女達を守り切れなかったと思います」
と、ユゲットとジャクロエの2人も今までで一番頭を下げた謝辞を述べるのとあわせて、モーネ王女からも
「ジェロさん、またしても助けて頂きましたね。感謝の言葉もありません。どうか引き続きよろしくお願いいたします」
と言われ、逃げるように自分の持ち場の焚火近くに戻るのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます