第173話 山での襲来
「うわ、かなり居るな。これは帝国兵ではなく盗賊か」
「服や装備も粗末で不統一だからそうなんでしょうね」
「これはジェロさんの魔法だけに頼れないな。火事になっても困るし」
「ジェロさん、馬車の周りにだけあの土の壁をお願いします。後は我々も仕事をしないと報酬泥棒と言われるので」
「わかりました!でも気をつけてくださいね」
ジェロは馬車3台を囲むように≪土壁≫を発動させて、馬車とともにモーネ王女、ヒルデリン王子、商人のアナトマ、リリアーヌ父娘、モージャンからの女騎士ユゲット、ジャクロエの6人を中に保護する。
自然と、アナトマ商会の護衛、オーレッド、シプリック、アロイーズの3人と、冒険者“ジェロ班”のイジドリック、レナルマン、コンスタン、エヴラウル、ジョジョゼ、リスチーヌ、そしてジェロの7人の合計10人が迎え撃つことになる。
『相手は20人ほど。うーん、21人かな』
『ヴァル、ありがとう。助かるよ』
「相手は21人ほど。油断しないように!」
「たかが盗賊程度、ジェロさんは休んでいてくださいね」
流石に火魔法で火事にするつもりは無いが、本当に休めるわけもなく、≪氷結≫と≪氷刃≫をヴァルと手分けして発動する。ただ、平原のように見渡せるわけでなく、木々という隠れる場所がたくさんあるのと、敵味方入り乱れてとなるので、自分たちの魔法だけで対応できるとは思わない。
「なんだ、こいつら手ごわいぞ!先生、お願いします!」
「ふ、仕方ないな。任せておけ」
背丈ほどある大きなすこし歪んだ木製の杖を持ち、濃紺ローブに顔まで隠した男が、離れた場所で木陰から姿を現す。
「おい、あいつ魔法使いだぞ!ジェロさん!」
「え、赤色の魔法陣?こんな場所で火魔法を使うの?あ、でも詠唱もしている」
『今のうちに≪結界≫の準備をしたら?実戦で試したいでしょ?』
『試すのは怖いけど、仕方ない』
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