第93話 ギルド図書室2

そしていよいよ魔導書の棚である。ほとんどが色々な属性の初級魔法であったが一部は中級魔法で、上級以上の魔法は無いようである。


最初に目についたのは闇魔法の初級≪夜目≫であった。先日のダンジョン最奥でハイオークを見ることが出来た言い訳になりそうだったからである。目の瞳孔の絞りを変えるという前世知識もあり、これもすぐに習得できそうである。


後は未習得の風属性や土属性も気になったが、まず習得を考えたのは、先日に魔人が使ったと思われる中級水魔法≪氷刃≫でありその手前の初級≪水球≫である。

≪水生成≫は習得済であり≪火球≫と同様のイメージで≪水球≫はできそうであるが、氷は水分子の運動を止めて固体にする前世知識を使って作成できるのであろうか。


図書室で水を発生させる気にならないため、必要な箇所だけ研究ノートに転記して、後は屋外で試すことにする。弓矢や攻撃魔法の訓練場には人が居なかったので、その入口付近で練習する。誰か人が来たらすぐに逃げ去るためである。

『そんなに人におびえなくても良いのに』

『どちらかと言うと、習得していない魔法をみられるのがカッコ悪いというか』

『最初は誰でもそうなのに』

『オークダンジョンなどの後から他の人の期待がある気がして』

ヴァルには、ジェロにも承認欲求が出て来たのか、良い傾向とも取れると思って見守る。


今回見たいずれの魔導書も現代魔術のみの記載であり、古代魔術の表現がなかったことにはガッカリしつつ、ヴァルに現代魔術語の詠唱や魔法陣の解釈を確認しながら練習してみる。

氷の生成のところでは単に水を固めると言う表現だけであったので、水分子の運動を止めて互いに結合するイメージを自身では追加して練習する。

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