第78話 魔人2

こっそり通路の奥にまわり込んだジェロは今まで見たことないほど大きい魔石に見えるダンジョンコアと思われるものへ、ヴァルの宿る日本刀で斬りつける。

『よし、これでこの魔力を貰ったわよ』

「あー!貴様、何てことをした!ダンジョンコアを!」

『ジェロ、右手を突き出して!』

魔人2人に対して≪豪炎≫が襲い掛かる。しかも連続して2発目、3発目。隙を突いたことから、2人をまともに捉えている。

『魔人2人と悪魔2体を巻き込んだけれど、魂を入手したのは1人分。きっと上位の方の魔人と悪魔は無事よ。何とか皆と合流して逃げて』


ジェロは魔人達の横を通り抜け、メオン達の方に合流する。その上で念押しの≪豪炎≫をヴァルに発動して貰うが、アゼルフスと言う方はまだ動けるようである。≪火槍≫を投げつけた後、≪炎壁≫で自分達との間に壁を作ったヴァルが、ジェロに全力で逃げるように再度告げる。

ジェロは毎朝の走り込みのおかげか、事務職員の割には体力もついており、他の冒険者達と共にダンジョンの入り口まで逃げ出す。どちらかというとメオンがこの中で一番体力が無いようであり、他の助けを受けながら逃げる。途中で遭遇するオーク達は可能な限り無視して、避けられない場合のみ戦闘を行う。また、分岐ごとに大きな声で「脱出!」と叫んで他の冒険者達にも逃げることが伝わることに期待する。


ジェロ達14人が何とかダンジョンの外に出ることが出来た時には誰もが息絶え絶えであった。少しして落ち着いたメオンがモージャンの職員に、この入り口から化物が出てくる可能性を伝え、上級冒険者のみを集めるように指示する。

その後は、オークダンジョンに潜った冒険者達が出て来るのを一人一人確認するしか無かった。上級冒険者の増員も到着するが、夕方になって全員が帰還するのを待った。

「皆、よく無事に帰って来てくれた。ダンジョンコアは破壊したが、最奥にはハイオークだけでなくもっと上位の化物が居た。今夜はこのまま入り口を封鎖し、明日改めて上級冒険者のみで再挑戦することにする」


「ジェロ、色々と聞きたいことがあるが、落ち着いて話したくなってからで良いぞ」

周りに人がいないタイミングでメオンに声をかけられる。

『ヴァル、とりあえず使った魔法の名前だけでも教えておいて』

『上級の≪豪炎≫≪火槍≫≪炎壁≫よ』

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