第76話 ハイオーク2

『何とかなったわね』

ヴァルのお陰もあり、ハイオークのうち3匹だけを釣ることができ、待ち構えていた弓矢組の遠隔攻撃から始まり、盾による防御、メオンの片手剣による攻撃など14人により簡単に殲滅することができた。

その騒動に気付いた残り5匹が順次こちらに近寄ってくる。1匹はジェロの≪火球≫の連続攻撃で倒し切れても、残りは皆でダメージを与えて何とか仕留めることができた。

『ヴァル、ありがとうな』

『この奥はもっと危ない感じがするわ』

『何だって!?』


ハイオークを倒しジェロに回復魔法を受けて一息ついている仲間達に静かにするように身振りをして、奥に何か居る気配ということを伝える。

皆は取り急ぎハイオークの魔石だけ回収し、慎重に広間の奥へと続く通路に近づく。

『危ない!』

「危ない!」

ヴァルの声に従い、前に出ようとしていたリスチーヌに声をかけると、間一髪で通路から飛んできた氷の刃から逃れることが出来た。

「不意打ちだったのに外したのですか……」

「まぁアゼルフス様、良いじゃないですか。どうせ生きて帰すつもりはないのですから」

「何だお前たち!」

「下等な人間と会話するつもりは無い。死ね」

メオンの声に反応して、魔法陣が浮かび短い詠唱の後に≪氷刃≫が飛んで来るが、リスチーヌは敏捷性を活かして避ける。

『ジェロ、魔人よ。逃げた方が良いわ。見つかると面倒だから刀に戻るわね』

「魔人?」

「ほぉ、我らのことを知る者が居るとはな」

左右のこめかみより上あたりに角があり、肩から下は黒ローブを着た2人が奥の通路から広間の中まで入ってくる。

「お前達がこのダンジョンを作り、そしてオーク達を産み出して居たのか」

「だったら何だ?所詮は下等な人間たち、我らの悪魔に魂を捧げる家畜でしか無いわ!」

「何だと!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る