第54話 モージャンの宿屋2

肉体派の先輩であるバスチャンに付き添われて、今日回収していた武具を並べた物を確認することになった。

「うーん、ジェロって意外としっかりした体格だよな。でも流石にオークの装備の防具は大きすぎるな」

「重たい防具なんて着たことないですし、動きが悪くなりませんか?」

「そうだなぁ。金属鎧ではなく革鎧ぐらいなら何も無いより遥かに良いが重くないし、慣れればなんとかなるんじゃないか」

「はぁ」

「まぁ防具は明日に店舗が開いているときに選べば良いだろう。武器はどうする?良くあるのは片手剣だぞ。ダガーよりリーチが長くて、怖がりでも気持ちが安心だぞ」

「いっそもっと敵と離れられる槍なんてのは?盾とかも」

「まぁ槍も良いが嵩張るし近寄られたら動きが取れなくなるぞ。盾も嵩張るし慣れないと視界が狭くなるし、どちらも魔法と併用するのは難しくないか?」

「あぁ、これは!」

「お、珍しいな、刀か。たまに使う人は居るが、メンテナンスできる鍛治屋が少ないのが欠点だな」

「これ貰っても大丈夫ですかね?」

「ん、そうだな、これはジェロが倒したオークが持っていたヤツだから良いんじゃないか。どこかの冒険者があのオークに奪われたんだろうな。その冒険者はきっと死んでいるだろう」

「これが良いです!」

「急に積極的になったな。まぁ片手でも両手でも使えるが、癖があるらしいぞ。俺も使ったことは無いが」

「何とかします」

「ジェロが積極的なんだからまぁ良いか。じゃあ明日はそれを装備して集合な。あと、誰がオークを何体倒したのかの申告と入手した武具の紐付けのメモ、清書しておいてくれな。事務作業、俺は苦手だから。ついでに鑑定もしておいてくれると助かる」


刀のことがありソワソワした気持ちではあるものの、本業の事務作業はきちんと終わらせておく。明日からもっと忙しいと思われたので、今日できることは、と。鑑定してもいずれも中級品か低級品で特殊効果があるものは無かった。

ちなみに刀は中級上位であった。

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