変わろうとしてる
「パパが乗れるなら、お金貯めて買おう」
「うん」
「あのね」
「うん」
「もう、私…。雪那に、私と同じ事をさせたくないの…。だから」
「わかった!俺も働ける所、探すよ」
「いいの?」
「うん」
「じゃあ、私も両親にちゃんとお金渡せない事言うから」
私の言葉に、誠は首を横に振った。
「駄目なの?」
「また、俺が膝こんな風になったら困るからさ!もう、葵の家族捨てよう」
「どうやって?」
「この街から、離れないか?どうしても、ここがいいなら別だけど」
「いいよ」
「本当に?」
「うん」
「じゃあ、3ヶ月以内にはどうにかするから!俺、頑張るから」
「わかった」
出会った時みたいに優しい誠がいた。何だか、凄く嬉しかった。
「その間に、住む場所とか決めてくるから!だから、葵は両親に引っ越すのバレないようにだけしといてくれよ」
「わかった」
誠は、ニコニコと嬉しそうに笑っていた。
「何か、誠。昔に戻ったみたい」
「そうかな?」
「そうだよ」
アパートに戻ってきた!相変わらずのアパート…。
「お風呂いれるね」
「うん」
私は、恭介をベッドに寝かせてお風呂を沸かす。誠も雪那を寝かせていた。
「葵、愛してるよ」
お風呂を洗い終わって、戻ってきたらそう言われて抱き締められた。
「どうしたの?誠」
「たまにはさ!」
「そうなの?」
優しい誠は、大好きだった。
「葵は、俺の事嫌い?」
「嫌いなわけないよ!優しい誠は、大好きだよ」
「嬉しいよ、葵」
そう言って、優しいキスをしてくれる。
「誠、もう一度やり直せるんだね!本当に…」
「そうだよ!やり直せる」
そう言って、見つめてくれた瞳に嘘はないのを感じた。やっと、私幸せになれるのね。
「泣かないでよ!葵」
そう言って、抱き締めて頭を撫でてくれていた。
次の日、私は朝から猛烈な吐き気で目を覚ました。
「大丈夫?葵」
誠は、背中を擦ってくれていた。
「うん、食あたりかな?」
「妊娠とかは、ない?」
「えっ?わからない」
「検査薬買ってくるよ」
そう言って、誠は家を出て行った。
「ママー、大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫」
ムカムカがおさまらなかった。暫くして、誠は帰ってきた!
「九時から開いててよかったよ」
そう言って誠は、笑いながら検査薬を渡してくる!
「やってみる」
「うん」
私は、誠から受け取って妊娠検査薬をしてみた。
「………………」
「どうだった?」
「してた……」
恭介の時みたいに「誰の子だよ」って言われると思って身構えていた。
「本当?やったな!おめでとう」
「えっ?」
「嬉しいよ」
雪那が出来た時みたいな反応をする誠に凄く驚いたけれど、嬉しくて嬉しくて私は、泣いていた。誠は、変わろうとしてくれてる。
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