第34話 中間テスト ③

【嵐side】


 カリ カリ カリ カリ カリ カリ カリ カリ カリ


 シーンと静かな教室の中、鉛筆やシャーペンの書き込む音だけが聞こえてくる。

 そう、この俺も真面目に試験に挑んでいるのだ。 決して、由利子オバチャンが恐いからでは無いぞ、本当だぞ!

 人間社会、学生を楽しむなら一定のルールを守った方が楽しめるのだ。

 それに、父ちゃんや母ちゃんを悲しませたく無いと云う事もある。

 神時代のちゃらんぽらんな親父ゼウスお袋女神ヘラは、放任主義なのか、コミュニケーションなど無かったからな。

 逆に人間の父ちゃん母ちゃんは、愛情たっぷりに育ててくれた訳だ。

 これを裏切る程、俺は狂ってはいないつもりだ!

『狂乱と破壊の神』などと言われているが、理性と愛情だってあるんだぜ。


 妹たちと勉強した成果もあり、順調に問題を解いていく。

 仮にも神だったのだから、人間の試験なんて朝飯前だぜ!


「テスト終了まで、残り5分だ!

 クラス、出席番号、名前を書き忘れるなよ!

 書き忘れたら、例え『100点』でも『0点』扱いだからな!」


 由利子オバチャンが皆に注意しているが、そんなミスをするかよ!


 キ~ン コ~ン カ~ン コ~ン ♪ キ~ン コ~ン カ~ン コ~ン ♪

 キ~ン コ~ン カ~ン コ~ン ♪ キ~ン コ~ン カ~ン コ~ン ♪


「それまで! 皆、書き込みを止めて、後ろから答案用紙を前の席に送るように!」


 生徒全員の答案用紙を集めて由利子オバチャンが教室から出ていく。

 今日は後、一教科のテストが終われば下校と成るんだ。

 つまり給食が無いから久しぶりにラーメンを食べに行ける訳だ!

 帰りは巧とロッキーの三人で『崑崙こんろん飯店はんてん』に行く約束に成っている。

 今からヨダレが出て仕舞う程、楽しみだなぁ~。

 ちなみに妹たちは友達と女の子同士でファミリーレストランに行くそうだ。

 ジュースの飲み放題も魅力だが、ここはガッツリとラーメンを食べたい気分なんだよなぁ~。



 ♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔



【英里香side】


 今日、最後のテストも終わり、私達・大江戸ファミリー女子組と星華、秋穂、伊緒、由美子の9人で行くことに成っているのだけど…………楽しみなのよね。

 ジュースやデザートも楽しみだけど、女の子同士でのおしゃべりも楽しく感じるのは人間に馴染んでいる証拠よね。

 女神時代は単独行動が多かったけど、ユリリン達と関わるように成ってから変わったわ。

 本来、群れるのは好きでは無かったけど………人間に成ってからは、女の子同士で騒ぐのも悪く無いわ。


「英里香ぁー!

 早く来ないと置いて行くよぉー! 」


 星華が急かしてくるのが、また嬉しく感じる辺り私も人間に馴染んでいるわね。


「今、行くよー!」


 私は学生鞄を持って皆の元に行った。

 不和と争いの女神は、暫くお休みに成るわ。



 ♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔



【由利子side】


 嵐の奴、解答欄が1個ずつズレている………

 アノおっちょこちょいめ! 残念だが『0点』だな、補習は決定かぁ~。

 私達、教師も補習授業はやりたくないんだがなぁ~。

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