第9話 朝の日差し

 朝日が部屋の窓から差し込み、二人を照らす。

 小鳥の声で目を覚ましたソフィは、大きく伸びをして目をこする。

 ソフィはベッドに顔をうずめるようにして寝ていたようだった。


「う~ん、いい天気ね」


 カーテンの隙間から見える緑豊かな庭園は、朝露を浴びて光り輝いている。


「ん……」


 ベッドに寝ていたジルもソフィの声を聞いたからか、ゆっくりと目を覚ます。


「ジルっ! 身体は大丈夫?!」


 ソフィはベッドに寄りかかるようにしてジルに近づいて体調を気遣う。


「すっかり良くなったみたいだ、ソフィのおかげだね」


「いいえ、この家の皆さんのおかげよ」



 ふとソフィの視線は大きくはだけたジルの胸元に注がれる。


「──っ!」


 昨日の夜の出来事が思い出され、ソフィは顔を赤くする。




『ソフィ……、愛してる……黙って俺のものになって』




 ジルからの熱っぽい誘惑に、そのあとの光景がよみがえる。


(私の唇とジルの唇が触れ合ってそれで……熱にうなされたから? それとも……)



「どうしたの? 顔が赤いけど」


「何もないわ! あの……ジル?」


「なんだい?」


「昨日のことって……」



 ソフィが恥ずかしさを押し殺して、ジルに聞く。

 その顔は赤く、そわそわとしながら視線は自らのスカートに注がれている。


「昨日……?」



「な、なんでもないわ! よかった、元気になって!」


「ソフィのおかげだよ」


 そういうと、ジルは俯いていたソフィの顔を自らのほうへと向ける。


「本当にありがとう、ソフィ」


「ええ」



 にっこりと笑うソフィの髪を優しくなでるジル。



「ソフィ」


「なに?」


「僕のものになって」


「──っ! やっぱり覚えていたの?」


「さぁ、それはどうだろう」


 にやりと意味深な笑顔を見せてベッドから立ち上がったジルだった──

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