第3話 若葉の気持ち
その頃、
若葉は悩んでいた。
子供とは言え
女の子は、成長が早い。
大輝の母親の話を
ある程度、理解していたのだ。
「今日、大輝のお母さんと
一緒にいたおじさんは、
大輝のお母さんが
好きだったんだ!
でも今の大輝のお父さんに
無理矢理、取られちゃったんだ。」
なんとなく当たっている。
「だから大輝の
本当のお父さんは、
今日いたおじさんなんだ!」
と、どうすれば子供が出来るかまでは、
わかっていなかったので
気持ちの問題で、お父さんが違うと
判断したらしい。
それでも、
大輝がショックを受けている事は、
良くわかっていた。
「大輝は、私が守るんだから!」
と、心に誓っていた。
「お姉ちゃんみたいなものなんだから
弟を守る事は当たり前だ!」
とも思っていた。
若葉にも、大輝にも
兄弟がいないので
若葉が姉で
大輝が弟のような関係になっていた。
若葉は、本当の姉のような気持ちで
守ろうとしていたのだ。
若葉も、正義感が強く
明るく、優しい
いい子に育っていた。
この頃は、恋愛感情などわからず
大輝を守ることが、姉の役割だと
本当に思っていたのだ。
そんな事を思いながら
この日は、
そのまま眠りについた。
次の日は、
大輝をいつものように
明るく元気に
迎えに行き
学校に向かった。
学校に向かいながら
「昨日は大変だったけど
私がちゃんとついてるから
大丈夫だよ大輝!」
と元気良く励ましていた。
「ありがとう若葉。」
と、少し元気がない返事だったが
守っていくと決めた若葉には
それだけでも良かった。
「大輝がいつも通りにいられるように
私がちゃんとついていればいいや」
と、思っていたのだ。
学校に着いてからも
いつもと同じように
男女別で話をしていたが
今日はなるべく
大輝に話しかけようと心掛けていた。
大輝も若葉と話す事で
いつも通りに
笑って話せるようになっていた。
大輝が、男友達とも楽しそうに話す姿を見て
若葉は、安心感を感じていた。
「普通に笑えてる!
よかった!」
と、思っていた。
その日の学校は、無事終わり
いつものように
一緒に下校し楽しく話しながら
帰ったが
家の前まで着くと
大輝は少し不安そうだった。
「大丈夫だよ!
荷物置いて
早く公園行こう!」
と、若葉は明るく伝え、
家に入るように促した。
今日は、きていなかったみたいだが
大輝は急いで出てきた。
そのまま家から
急いで離れるように
公園まで走った。
公園に着き息を整え
公園で遊び始めた。
大輝は家に荷物を置いて出てきてから
少し元気がなかったが
いつも通りに遊んでいると
楽しそうに遊び始めた。
若葉は、そこでも安心した。
この日は、悪い事を考えさせないように
いつもより
大輝とたくさん遊んだ。
「楽しそうにしている
大輝が見られて良かった!」
若葉は、満足そうにしていた。
公園から帰る時は、また心配になったが
「今日みたいにすれば大輝は大丈夫だ!
と、若葉は思う事にした。
次の日から学校でも
なるべく大輝に話しかけて
男女一緒に過ごす事が多くなり
若葉はみんなの
姉御のような存在になって行った。
クラスのみんなとも
前よりも仲良くなり
クラスの雰囲気もすごく良くなっていった。
大輝も学校では楽しく笑っていたので
「お姉ちゃんとしては
これで安心だ!」
などと、思いを馳せていた。
自分が大輝の姉であるように
意識しすぎて
本当の姉になったと
思い込むようになって行ったのだ。
その為に大輝に恋愛感情を
抱く事もないと勘違いし
大輝とは、本当の姉弟のような関係だと
思い込み始めてしまったのである。
若葉の気持ちが
どんどんすれ違い始めたのだ。
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