第4話 国語
昨日の夜は、眠れなかった。
雷に打たれたということを思い出して眠れなかっただけではない。
何か僕の中にいるような……
体の倦怠感もありながら登校した。いつも以上にやる気が起きない。
「キンコンカンコーン、キンコンカンコーン」
一時間目の国語の授業が始まる。
一日の最初の授業が国語はなかなかハードだ。なぜなら僕は国語が苦手だからだ。
最初の十分は読書。残りの時間は教科書の中の物語を使った勉強や漢字の書き取りだ。つまらないと感じる理由だ。
しかし、国語の授業は油断してはいけない。理由は、みんなで音読することがあるからだ。集中していないと、どのページの何行目なのか見失い、恥をかくだけではなく、先生に怒られるというトッピングまでついているからだ。ここはまたもやどうでも良くないポイントである。
今日もそのみんなで音読が始まった。僕の心の中はいつも「手上げさせて読みたい子に読ませればいいのに」と思っている。シャイな僕は、みんなで読む必要性を感じれずソワソワしているのだ。
「はーい、じゃあ今日は七月八日だから出席番号八番の大島くんから順番に読んでいこうか」
清々しい朝に甲高い先生の声が響く。
大島くんからだからこのページの量的にもおそらく今日は僕には回ってこない。
こんな予想を今日もしていた。
その時、僕のお腹が鳴る。空腹でもないのに鳴るのである。
まぁこんなこともあるだろうと時計の針を見つめる。あと五分で授業が終わる。
嫌いな授業ほど時計を見る回数が多い気がする。
僕は三十秒ごとに見つめる。
あと一分だ。時計を二回見れば終わる。
ラスト一回…… 唾を飲む。一瞬も気が抜けない。もう大丈夫だとも思いたいのだが。
秒針が十二を指す手前を見る。
僕はホッと安堵の呼吸をした。
しかしチャイムがならない。待てど待てども鳴らない。時計を確認する。
時計の秒針が動いていないことに気がつく。
何が起きているのかわからない。先生も他の子も気づかず授業をしている。
このままだと僕まで回ってきてしまう。心が焦るのがわかる。もう何ページを読んでいるのかわからないからだ。
そこにきて、また僕のお腹が鳴る。次は違う音のような感じがする。
「プップップ」
この奇妙な音とともに強烈な腹部の痛みを感じた。
「ガターン」
僕はお腹を抱え込み、机の下に倒れ込んだ。
あまりの腹痛に意識も遠のいていく……
誰も助けてくれない。先生もみんな授業に集中している。
目を瞑りかけた……そのとき、この世のものとは思えない生物が僕の目のまえに現れた。
その瞬間腹部の痛み、体の倦怠感はなくなった。
その生物は僕が倒れている目の前で小さな背中を向けてこっちを見てきた。
「ゴンスゴンスー」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます