一つ聞きたいことがあります…… 僕の運は何に使えばいいですか? 妖精にもらった運で最強になってしまいました。
すいかのたね
第1話 朝礼
僕の名前はケンシロウ。小学四年生の三十五歳だ。
親があまりにも適当な性格のため、国民の三代義務全てをずっと怠ってきたのである。あだ名はもちろん「おじさん」だ。なかなかクラスに馴染めない。それも当然のことだ。周りからすれば小学校入学時点で三十二歳という自分たちの親とそう変わらない年齢だから不思議がるのも仕方ない。先生たちとの関係はというと、これもまた微妙な関係だ。担任の先生はあまり僕を好意的に見ていないように思える。
つまらない生活だ。
僕はこのままこの子たちと一緒にいていいのだろうか…… 学校生活うまくやっていけるだろうか
同世代の人たちは今一生懸命仕事しているのに……
現実の楽しめなさと将来への不安が日々募っていく。と普通の人なら思うかもしれない。でも僕は今までもそしてこれからも親や先生の言われた通りやっていくだけだから気にしない。
全てがどうでもいいのである。
「キンコンカンコーン、キンコンカンコーン」
「はーい、静かに! 席座りなさーい! 今日の日直はケンシロウ君だよね? じゃあ朝礼やって、最後に親御さんの職業をみんなに大きな声で発表してみよう! ちゃんと調べてきてあるかな? 」
感情が入ってないかのように冷たい声で担任の先生が話し出す。
「は、はぃ……」
朝礼は残すとこ最後の発表だけになる。
僕は極度のあがり症だ。だから自分のエピソードなどみんなに話したくない。これはどうでも良くない。
チャイムよ鳴れ、鳴れと心の中で叫ぶ。チャイムが鳴れば先生が強制終了するのが分かっているからだ。
しかしこういうときに限ってスムーズにきてしまうのである。
僕は下をむき黙り込む。
「お父さんとお母さんどちらでもいいのよ! 恥ずかしがらず大きな声で行ってみようね! 」
「あー、えっ、じゃあ母親のこと言います。えっとー、僕の母親は家でご飯を作ってくれます。毎日」
「え、それだけ? じゃあお父さんはどんなお仕事されてるのかな? 」
先生は僕に冷たい声で内容を要求する。
父親のことだけは言いたくない。どうにかしてはぐらかしたい。
僕は何もない頭をフル回転させる。
「僕の父親は普通に仕事しています……」
「キンコンカンコーン、キンコンカーン」
チャイムの音を聞いた途端、やさしい風が僕の心を包み込んだと同時に目の前には冷たい風が睨んでいるかのようであった。
「ケンシロウ君、ありがとうございました。みんな拍手!(乾いた拍手が鳴り響く) ケンシロウ君はもっと自信を持ってハキハキ話せるようにしましょうね! 先生はあともう少しお父さんの仕事内容知りたかったな」
先生はニヤニヤ不気味な笑みで話して朝礼が終わらせるのであった。
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