四畳半ラヂオ御噺
橙 suzukake
小学生篇
小学生篇(1)小2『四畳半襖の向こう側』 NHK第一放送
ぼくがすんでいるのは、家ではなくてアパートだ。
それでも、きょ年の、小学1年生までは、かりていたけれど、いっけんやみたいで広かったし、おかあさんのじむのおつとめのばしょも、ろうかを20歩、歩いて行くだけでついたからべんりだった。
かりていた家には、お昼に、たくさんの男の人たちがあつまってかいぎをすることがおおかった。おかあさんは、けんせつぎょうきょうかい、っていっていた。トイレは、男の子がするのが3つあったし、うんちをするところも3つもあった。ぼくがどんなに大きなうんちをしても、トイレの水はいきおいよくながれたのでつまることはなかった。
2かいにいくと、たたみが30まいくらいある広いかいぎしつがあった。そこで、男の人たちがよくかいぎをしていた。おかあさんは「だんごー、してるの」ってよくいっていた。ときどき、おすしやかつどんをたのんで、あまったりすることがあると、ぼくも食べることができた。
おぼえているのは、ぼくがほいくえんにかよっているとき、おかあさんがしごとがいそがしくておむかえにこれないときは、けんせつぎょうきょうかいにきていた男の人がぼくのおむかえにきてくれた。そのおとこのひとたちは、おかねもちらしくて、大きいがいこくの車でおむかえにきてくれた。たしか、ベンツとかリンカーンなんとかっていう名前の車だった。ぼくは、車にのると、王じさまみたいだな、っておもった。
でも、小学2年生になって、ぼくたちかぞくはアパートにひっこした。このアパートは、へやが3つしかないし、30まいのたたみがある大きさではなかった。おかあさんのおつとめは、まえとかわらなかったから、じてんしゃで20ぷんもかかる遠いところになった。おかあさんは、車のめんきょがないので、雨の日も、ヤッケをきてじてんしゃでかよった。
へやは、すくなかったけど、よかったことは、ぼくのへやができたことだった。たたみは4まいとはんぶんの広さだったけど、ほんとうにうれしかった。
おかあさんは、朝、きげんがわるかった。ぼくがいつまでもふとんからおきなかったり、いもうととけんかしたりしたからだ。
「おかあさんも、おつとめにいくのがたいへんなのはわかるけど、ぼくだってたいへんなんだよ」っていったけど、「子どもがなにいってんの!はやくごはん食べなさい」ってぎゃくにおこられた。
おかあさんは、朝はラジオをきいている。ぼくたちのあさごはんやおとうさんのおべんとうを作りながらラジオをきいている。たしか、エヌエチケーっていっていた。
ぼくは、ニュースとか、うたがないおんがくとか、ぜんぜん、おもしろくない、って思ってたけど、おかあさんはおもしろかったんだろう。
7じ40ぷんころに、ラジオが「では、朝のずいそうのコーナーです」というと、ぼくがしょうがっこうにでかけるじかんだった。だから、ぼくは、あさのずいそうというのがきらいだった。
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