トワイライト・ルーラーと「陽暮」のお姉ちゃん

氷川 晴名

第一話 US《ユニークスキル》

 US《ユニークスキル》。

 狩人ハンターがひとりにつきひとつだけ持つことのできる特別なスキル。

 他のスキルとは異なり、一定の条件下において自動で発動する。



「え、えーっと……」

 受付、受付は……。

 ここかな。

「あ、あの、お姉さん……」

「ん? どうしたの、ぼく?」

 書類の整理をしていたギルドの制服(たぶん)を着ていたお姉さんに話かけると、少し屈んで目線を合わせてくれた。

「えと、狩人ハンターになりたいんですけど、ここで合ってますか……?」

 と、訊くと、お姉さんは首を傾げ、

「君いくつ? 狩人免許ハンターライセンスは十六才以上じゃないと発行できないよ」

 と、訊き返された。

「僕、十六才なんですけど」

「え!? うそ」

 職員さんはバタバタと身なりを少し整え、

「ごめんなさい。もっと幼く見えたので……。お名前は?」

「ランっていいます」

「ランさん、ですね。えっと、あ、ありました」

 そう言って、一枚の書類を浮く絵の上に置いた。

 僕が数日前に送ったやつ。

「事前審査は通っています。ここにお名前を……」

 渡されたペンを使って、記名する。

「はい。大丈夫です。こちらライセンスになります。どうぞ」

「あ、ありがとうございます」

 職員さんからライセンスを受け取った。

 ついに、僕も……。

「裏面を見てください」

「裏ですか……?」

 裏にはひとつの行だけ空欄があった。

 これがUSユニークスキルの欄。

「USと書かれたところを、指で触ってください。正確には指紋を認証してください。あなただけのUSが浮かび上がりますよ」

「え、えと、触れる指でUSが変わるなんてことは……?」

「ふふっ。みなさん聞かれるのですが、そんなことはありませんよ。狩人になる、ならないに関係なく、USは生まれた時から決まっています」

 じゃあ、ためらっても意味はないってことかな。

 職員さんはニコニコと楽しそうに見ている。

 あまり楽しみにしてたように思われるのは、ヤだな……。

 さっと、やってしまおう。

「えいっ」

 左の親指で、USの文字に触れる。

 と、ぴかっとカードが光った。

「……!」

 光が弱まると、さらさらと流れるように、隣に文字が浮かび上がってくる。


US〈相手の攻撃スキルの命中率が少し減少〉


 あんまり強そうじゃないかも……?


——————————


ラン   US〈相手の攻撃スキルの命中率が少し減少〉

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