第13話 上下左右裏表

霧島はどうやら、皐月にうまく接触できたらしい。


彼が取った戦略としては、彼女つまり皐月に出来るだけ側にいることで解決を試みているようだ。


まあ、話しかけて来なくなったのは寂しが、その分皐月に絡んでいるようだし許してやろう。(上から目線)


後は、皐月が恋する乙女みたいな目をしていたら、もうそれは俺の勝利です。やりました、ついにヒロイン1号が生まれますよ!



そして目下、霧島クンが、皐月のそばにいて、周りに牽制をしている。


安直でありふれた策略だが、さすがクラスの人気者かつイケメン、いい感じに牽制はできているようだ。やっぱ額面戦力は大事なのだと痛感させられたね……くそが


おかげで皐月のいじめはなりを潜んでいるようだ…



表面ではね……



「まあそれだと、確かにクラスで表のいじめはいいけど、裏のじめじめとしたいじめに関しては対処できてないんだよな~」


校舎裏に埋められた外靴や、燃やされた教科書など、裏ではひどい嫌がらせが行われていた。きっとクラスの人気者から贔屓されていると言う嫉妬も含まれているのかな。


気づかないのは、いつも皐月と行動しているから仕方ないと言ってしまえばそこまでだが…


さらに、いじめの魔の手は桜まで及んでいるようで、クラスメイトから無視されてしまったことで周りを揶揄えないのか、暇になった桜の話相手となる機会が増えた。


桜と話すのは楽しいんだが、すごく疲れるのだ。


亮は一個ずつ隠されたりしたものを回収し、修復して、それをわざわざクラスのゴミ箱に捨てたりと、霧島が目に見える形にしていく。


これで、裏の石の裏のようなじめじめとしたいじめに気付いてくれないかな?気づかないか…


…俺何やってるんだろう…もう霧島!!、友人キャラならこれくらい気づけよ!(押し付け)


まあ中学生だし……しょうがないと目をつぶる。これから成長していけば問題なしっと。


「よし。終了だな、今回はどんな形で、見つけてもらおうかな~、レパートリーはもうないんだよな。」


今回は、体操服を燃やされて、校舎裏の汚い、雨水がたまったプールに捨てられていたので拾って修復をしていた。


「仕方ない、今回は無難に誰かのロッカーに隠すかな。」


などとつぶやいていると、


「やあ、君はこんなところで何をしているのかな」


耳元で、抑揚のない声がささやかれる。


「うわああ!! びっくりした。って桜、お前かよ」


とっさに、体操服を後ろに隠して、クスクスと嗤う桜に批判的な目を向ける。

やば、俺が何かしてることに勘付いたか?


「いや、申し訳ない。こんなところで怪しい人影を見つけてしまってね。ついつい好奇心で近づいてみたら、君だったてわけさ。」


「いや、怪しいやつがいたら、話しかけるなよ…つうか、なんで驚かせたんだよ…」


「…好奇心?」


コイツっ!


「好奇心猫殺すということわざを知らないのか? 今いたのが俺だったからいいものを、本当にやべー奴だったらどうするつもりだったんだよ…」


こいつはただでさえ可愛いのに、こんなところ歩いてたら危ないだろ。ただでさえ、可愛いのに(大事なこと)


「なんだい、心配してくれてるのかい?  ボクにいいようにやられっぱなしの君が?」

「くっ…」


クスクスとバカにしたように桜が嗤う。


こいつ!!! 調子乗りやがって!! 可愛いから許す!!


「はあ…、そういえばお前の友達の皐月とは一緒にいないんだな。珍しいことで」


とぼけたように聞いてみる。

確か原作では、今の霧島のように46時中くっついていたはずだか……

桜の行動に少し違和感を感じ、探ってみると、


「…君は彼に対してどう思っているんだい?」

「え?彼ってだれのこと?」

「あ~すまない、霧島君のことだよ」


質問に、質問で返され、少し困惑してしまう。加えて、質問の意図がまるで見えない。 なぜかこちらを見定めるような視線を向けている。


え? 何? なんか大事な感じ? 全くわからん… 霧島の事好き?ということではなさそうだし…


でもあれか? 親友の皐月を助けているから結構ポイント高いのか?


とりあえず、褒めておこう。


「えー、いいと思うよ?っ性格も良いし、かっこいいし。ほら、正義感強そうじゃん」

「あはははは、随分と面白味の無い回答だね。そうだね……彼は実に普通の人間だよ。」


いや、天才のあなたから見れば、人類みなそうでしょうに。


「まあ、ボクが英梨えりに近づきてしまうと、火に油を注ぎかねない…表立っては彼に任せるとするよ。」

「ほえ~、まあ桜なりに考えがあるならいいんじゃね?」


どうやら、桜自身、皐月をかばうことに関しては、余計に炎上させてしまうことに気付いたらしい。まあそれはそれでやることが少なくなり助かるのだが…


「ああ、だから、陰で行われているであろう陰湿ないじめを何とかしようと思っていたんだけど…全くその形跡がなくてね。いや跡はあったが。」


流し目でこっらをちらりと見てくる桜


こっち見んな!!! 気のせいだから!!


「文房具、教科書、机、外履き、半ば履き、そしてその体操服もか。同じような魔素が付着しているね。いや~最初は、びっくりしてしまったよ。君がそんなことをする人間だとはね。」

「そんなこと?さっぱり意味が分からないが?」


それはカマ掛けか?

それとも、俺がいじめの実行犯と勘違いしているのか?


「おや?まだとぼけるのかい? 君も知っているだろう? 英梨がいじめられていることを。」

「いや、全然知らなかったよ。初耳だ」


何だろう。この追い詰められている感じ。いや実際に問い詰められてはいるか…

とりあえず惚けようっと。

まさかバレているのか? いやバレてそうだけども!?こいつどこまで掴んでるんだ?


「ふふふ、まだ白を切るつもりかい? 答えたまえ、君だろ?


だから何をだよ…


「証拠はあるのか?あっ、因みに今あるこれはたまたま拾っただけだぞ。それがたまたま皐月のだっただけで」 


苦し紛れの言い訳を話すが…なんか、俺、犯罪を犯した犯人見たいじゃんか…

なんだよ証拠はあるのか?って


「証拠?そんなものが必要なのかい?」

「は?」


こいつのことだから、証拠を集めているものだと思ったが、


「このボクが確信しているならそれでいいじゃないか。誰に理解されななくてもボクが知っていれば……ボクが全て片付けるのだから」


そう言う桜の目のハイライトは完全に仕事をしていない。まるで、この世の全てに裏切られたような表情だ。



…………………………


………………………………………………………………………………



え? なんでこいつ闇落ちしそうになってるの?

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