第11話 ボス戦
「か、隠しクエスト?」
こんなのウィキペディアにも攻略本にも聞いた事ないクエスト内容だった。もしかして激レアのクエストなのかと黒華はワクワクする。
「ねぇ、コクハ。推定レベル10以上に対して、この報酬豪華過ぎない?」
「いや、もしかしてゴブリン自体は弱いけど、黒幕がめちゃくちゃ強いとか?報酬に書いてあるゴブリンキングの王冠を考えると、ボスはゴブリンキングになるよな」
「ゴブリンキングか...」
情報にない敵にどう対処するか考える。
もし、今の黒華達なら結構キツイクエストだったらと考えると。
「さっきレベル上がった分のステータスを振るか」
黒葉は素早さに100ポイントを振る。千夏は防御力に、凛は攻撃力と素早さに50ずつ。ステータスを整えて終えたら洞窟の奥に進む。
「あ、いるいる!」
千夏はゴブリンを見つけた。洞窟の中は狭いので囲まれれば終わりなので、ここは穏便に倒そうと短剣を持って暗殺者らしく影に隠れてゴブリンを倒す。他のゴブリンに気付かれない様に物音立てずに次々と倒して前に進んだ。
「うわ〜広い」
洞窟の奥に少し広い空間があった。数体のゴブリンの真ん中に王冠を被った大きなゴブリンが座っていた。
「あれが、ゴブリンキングね...うん、あんなモンスターは見た事ないや」
「攻略本に載ってないモンスターか...いいね、あれ倒したくなってきたな」
「同感だねコクハ」
フリーダムアドベンチャーが面白すぎて凛と黒華は思わずニヤついてしまった。
「千夏、MPはあとどのくらい残ってる?」
「今3658MPあります。自動回復に1MPについ10秒回復しますので、少し待てば
ヒールのMP消費は100。オールヒールは800となっている。オールヒールが4回も放たられるのは今の上位プレイヤーしかいない。
「俺達は雑魚を倒してボスに挑む」
「黒華君達の減ったHPを後ろで回復します」
3人は目線で合図を取って、黒華と凛はゴブリンの数体に突っ込む。雑魚ゴブリンを先に倒して向かう。ゴブリンキングは立ち上がり黒華達に攻撃するが、それを避けて雑魚ゴブリンから殲滅させた。
「ふぅ、これで邪魔は消えたね」
「ハハハ、こんな強行突破を出来るのはあたしとコクハぐらいじゃない?」
このゲームは現実の身体能力も反映されるので、普通はスキルで防ぐ攻撃も身体能力や動体視力で何とか避けられる仕様になっている。
上のバナーには、ゴブリンのHPは10000はある。動きも鈍くて決して倒せない相手ではない。少しズルいと思われるかもしれないが、スキルやゲームの仕様ではなく現実の身体能力で倒すと決める。
「ぎぃぃぃいいい!!!」
ゴブリンキングは叫ぶ。凛と黒華はゴブリンキングに少しずつだが、HPを減らしていった。だが、少しでもキングの攻撃が当たると半分以上も自分のHPが減るが後ろから千夏がオールヒールで全回復する。
「あと3回です!」
「大丈夫だ!その3回を使い切る前に倒す!...なっ!」
キングのHPが半分になった時、キングの体が赤く蒸発する様になり、動きが速くなっていた。第二フェーズが来たのだろう。すると、回復術師の千夏を狙う様になる。
「やばい!」
例え千夏が防御力があっても、今の千夏の防御力とキングの攻撃力を比べればキングの方が高いだろう。もし少しでも擦ればHP100しかない千夏はすぐにゲームオーバーになってしまう。
「えっ」
流石千夏の豪運と言えるべきか、ゴブリンキングの攻撃を尻もちをついた際にたまたま避けたのだった。すぐに凛と黒華はキングに追いついて何回か攻撃をする。千夏はキングから遠ざかり、凛と黒華は千夏に近づく隙も与えない様に実力で連撃を繰り広げる。
「はぁはぁ、これで最後よ!
最後のトドメに凛はスキルを使った。2つの斬撃がキングを襲った。キングは剣で防ごうとするが、黒華に邪魔をされたのだった。そして、
「「はぁはぁはぁ」」
凛と黒華は体力が限界に来ていた。2人は目が合うとキングを倒せた事に嬉しさで凛が黒華に抱きついて行った。
「やった!!勝ったよ!」
「り、凛?!」
抱きつかれる事に黒華は顔を赤くする。凛は嬉しさにそれに気付いていなかった。
「本当、コクハは凄いよ!本当に凄い!コクハのおかげだよ!あはは!最高!あたしの相棒!」
「ふふ、仲が宜しいですね」
千夏は2人の姿を見て微笑ましそうに見ていた。すると3人の頭に[Congratulation!!quest clear!]が流れる。そして大量のレベルアップ音が流れ目の前に宝箱とキングの剣が現れる。
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