三章 辺境の軍警察
一 コンバットのマリー
ガイア歴、二八一〇年、八月に、クラリスが
『五年待てば、惑星ガイアのAI・PD(PDガヴィオン。クラリスと同格の電脳宇宙意識)が救援隊を派遣します』
と語ったように、クラリスと同じ存在のAI・PDがコントロールする巨大攻撃用球体型宇宙戦艦〈オリオン〉で、〈オリオン〉の提督で、オリオン国家連邦共和国を代表する総統Jが、精神生命体ニオブの子孫の特殊部隊トムソを率いてフローラ星系惑星ユングの宙域に飛来していた。
Jが使用する戦艦〈オリオン〉は惑星移住計画用の攻撃用球体型宇宙戦艦で、直径四十キロメートルと巨大だが、高いステルス機能のため、宙域の何処に居るか不明だった。
これまでJはAI・PDやニオブのトムソ部隊とともに、オリオン渦状腕外縁部へ逃亡したホイヘンスのネオロイド(ディノスに意識内進入したホイヘンス)を追って、オリオン渦状腕外縁部に侵攻した悪しき侵入者である獣脚類のヒューマノイドを駆除してきている。ジョーはクラリスからそれらの事実を伝えられていた。
アシュロン商会本部ビルが再建されて五年が過ぎた。
この間に、首都機能は、アシュロンから北西へ五百キロメートル離れたアシュロンキャニオンの地下、ニューアシュロンに移転して、アシュロンは急速に寂れた。
フォースバレーキャンプは、アシュロンから西へ二十キロメートル離れたアシュロンキャニオンを見おろすフォースバレーの地下に移転した。リンレイ・スー軍事基地は、フォースバレー宙港として使われている。
アシュロン商会のアシュロネーヤはジョーとアントニオを除けば、みな帝国軍が造って洗脳したレプリカンだ。ジョーとアントニオはレプリカン培養装置使って、本来のアシュロネーヤのレプリカンを、帝国軍が造った洗脳レプリカンと少しずつ入れ換えた。
ガイア歴、二八一五年、十一月十五日。
オリオン渦状腕外縁部、テレス星団フローラ星系、惑星ユング。
ダルナ大陸、ダナル州、アシュロン。
午前十時。
ジョーはマイケルとトムを連れて、アシュロンの寂れたビルの間にいた。ジョーはカラーコンタクトで碧眼を装ってサングラスをかけている。皮膚は濃いオリーブ色、背は高く二メートル以上ある。これらは隠しようがない。
「アンタがユンガのジョーか?
ここで、上物が手に入ると聞いた。
サバいてるんはアンタかい?」
茶髪をポニーテールした黒眼の女が近づいて、ジョーを臆せずに訊いた。革に似たジャケットの下にバトルスーツとバトルアーマーが見えた。テレス帝国軍装甲武装兵士アーマーが装着するバトルアーマーだ。
「そんなことを言うのは何処の誰だ?」
この女はマリー・ゴールド太尉だ。金髪碧眼だったはずだ。化けたな・・・。
ジョーは指の爪を削っている小型ナイフをたたみ、両手を戦闘用の特殊ジャケットに入れた。ジャケットには様々な戦闘機能がある。
マイケルとトムは噛んでいた嗜好品をその場に吐きだして、ジャケットのポケットに両手を入れ、緊張の視線をマリーに向けた。二人は短めのドレッドヘアーでジョーより頭二つ分背が低い。二人は、二人より背が高いマリーを見あげている。
「マリー・ゴールドに紹介された、そう言えばわかると教えられた」
マリーは鋭い視線で二人の小男を睨みつけた。マイケルとトムはマリーの視線を避けて汚れた路地に視線を向けた。
「アンタはアーマーか。こっちに来てくれ。
マイケル。トム。見張ってろよ」
二人を残して、ジョーはビルとビルの間を歩きだした。
入り組んだ路地進んでビルの一郭に入った。
「支払いはどうする?」
ジョーが静かに呟いた。傷だらけのテーブルが接した壁のシールドを解除して、コンクリートの壁を外し、中から金属ケース引きだした。壁に模した金庫だった。
「軍クレジットで三十万と聞いた・・・」
マリーの呟きを聞いて、ジョーは金属ケースのロックにパスワードを入力して、右手の指紋と静脈認証を入力した。ケースが開いた。中に青い液体が入ったインジェクターがある。ジョーは右手でインジェクターを取り、左手でクレジットを要求した。
マリーは右手でバトルスーツの胸ポケットから、クレジット三十枚が入った透明な平たいケースを取りだしてテーブルに置いた。
ジョーは右手のインジェクターをテーブルに置き、左手でクレジットのケースを取った。
その時、マリーの左手がバトルスーツの腰部からレーザービーム銃を抜き、右手がインジェクター取った。同時に銃口から鈍い発射音がして、インジェクターの先端がジョーの右腕に触れて内容物が浸透した。
右手首の激しい痛みとともに、ジョーの右手がテーブルに転がった。
切断部位はレーザーで焼けて出血していない。右腕に浸透したクラッシュが効いて、ウオッーと呻いた声が途切れた。ジョーは埃だらけのフローリングに倒れた。
なんてことだ!手を吹き飛ばされるなんて!とんだ誤算だ・・・。
「このクラッシュをシキってるのは誰だ?」
マリーが跪いてジョーの耳元で囁いた。
クラッシュが効いて手首の痛みが消えた。意識が朦朧としてる。すぐには何も答えられない。俺にはクラッシュ耐性がある。ゆっくり意識が覚醒してきた。右手首に激痛が現れはじめた・・・。
「オレが戻らねえと、あの二人が商会へ連絡する。仲間が駆けつけるぜ・・・」
マリーはジョーの声を聞きながら、ジョーをテーブルの椅子に座らせて入口に細工した。
クソ!あいつらを吹き飛ばす気だ!このマリーはただのコンバットじゃない!
ビルの入口にマイケルとトムが現れた。二人は入口にセットした超小型多弾頭多方向ミサイル・リトルヘッジホッグの餌食になり、挽肉になって散らばった。
「くたばった二人は、どこへ連絡するんだ?」
マリーはもう一度インジェクターをジョーの右腕に当ててクラッシュを浸透させた。
「やめろ。さっきから噴射量が最大だ」
意識が混濁しはじめた。クラッシュは解毒しないでおこう。手首の痛みを消すのが先だ・・・。
マリーは、椅子から崩れおちそうなジョーの背を椅子の背もたれに沿わせて訊いた。
「同じ質問を三度はしない。
クラッシュをシキっているのは誰だ?」
「へへへっ!同じ質問を三度はしない・・・」
ジョーは椅子にもたれたまま、マリーを見つめてニタニタ笑った。
マリーがバトルアーマーから大粒のキャンディーほどの球体を取りだしてジョーの口に放りこみ、表面のピンを抜いた。球体はジョーの口中で膨張し、顎を開いたままにした。上下の前歯に引っかかったまま、球体は口から取れない。
「こいつはBA巡航弾だ。本来、投擲と同時にプログラムに従って飛行してターゲットを破壊する。
今回は温感型にプログラムした。無理に口から取りだせば温度変化で誘爆する。
爆破させたくなければ、誰がクラッシュを仕切ってるか言うんだな」
ジョーは首を横にふって呻いた。
やはり、この女はただのヒューマじゃない・・・。
マリーがインジェクターをテーブルに置いて、クレジットケースを胸のポケットに入れた。
「こんなクラッシュがアーマーの給料ひと月分とは恐れいった」
インジェクターは内容物が三分の一残っている。
一般のヒューマなら最初の一噴射でショック死する。上背があって大きな体躯のカプラムのジョーにとって、クラッシュの二噴射は、吹き飛ばされた右手首の痛みと口に入れたBA巡航弾による顎の筋肉の痛みを緩和し、全身の緊張を解き放ってアルコールによる酔いに近い状態にしているだけだった。
ジョーはマリーの行動を観察した。
マリーはジョーの背後にまわって、ハエに小型化したAIマシンをジョーの短い髪に付着させ、精神波(心による思考波)で連絡した。
『PeJ、あとで4D映像を送れ』
『了解したよ、J』
ジョーはマリーの思考を読んだ。
五年前にクラリスが説明したように、このマリーが、ニオブのニューロイドJの精神共棲体だ。Jはオリオン国家連邦共和国代表の総統で、戦艦〈オリオン〉の提督だ。
このAIマシンは、時空間転移伝播する素粒子波で4D映像通信する。4D通信は電磁波による3D映像通信と違って探知されないとマリーは思ってる。クラリスの素粒子信号時空間転移伝播通信と同じなのを、このマリーは知らない・・・。
俺はニオブの精神思考(心の思考)を読めるが、ニオブは俺の精神思考を読めないらしい・・・。精神思考形態の相異が原因なのか、クラリスに解明してもらおう・・・。
「BAは衝撃でも爆発する。せいぜい気をつけるんだな。
しゃべる気になったらマリー・ゴールドに言え。
マリーを脅しても無駄だ。マリーは私を知らない」
マリーはジョーの耳に囁いてビルを出た。
マリーは入り組んだ路地を戻った。路地の前後が見通せないのを確認して、バトルスーツの運動機能強化スイッチを入れ、ビル壁の僅かな突起にバトルシューズの爪先を引っかけて反対側のビル壁へ跳躍し、壁から壁へ跳躍をくりかえしてビルの屋上に駆け上がった。
『PeJ。4D映像をくれ』
屋上の壁に身を隠して、マリーはPeJに精神波で伝えた。
『ジョーはまだ回復してないよ』
マリーの精神思考域にテーブルが現われた。酔漢の視野のように揺れている。
ジョーは目の前のテーブルが揺れて見えるように、酔漢の如く身体を揺らした。
口にBA巡航弾が入ったままだ。髪の毛に付着しているAIマシンに聞えるよう、あえて酔っぱらったように呻いた。
「クソッ。アーマーをぶっ殺してやる!」
そして、次第に身体の揺れを少なくして、急速にクラッシュを解毒しているよう装った。
『すごいよ!ジョーがすごい早さでクラッシュを解毒してるよ』
『ジョーを思考記憶探査してるんか?やめろ!PeJの存在を気づかれるぞ!』
『了解、やめたよ。ジョーは精神波を使えないよ。
ボク、ただ待つのはヒマなんだよ』
『それは私も同じさ』
しばらくしてジョーは立ちあがった。ビルを出て路地を進み、屋上にマリーの気配を確認して、ビルの下を抜けながら、あえてPeJが理解できるように考えていた。
あの女、俺から通信機を奪わなかった。
俺がクラッシュを扱うアシュロネーヤを呼ぶのを期待してた。
俺があの女の件を連絡しても、アシュロン商会は、自己処理しろと言うだけだ。
処理できなければ、あの女と話した俺を狙撃して抹殺するだろう。
頼りにしてた監察官は、ニューアシュロンのアシュロン商会へ移住した・・・。
ジョーの頭の上でハエのPeJが伝える。
『ジョーは連絡しないよ~。連絡したら仲間から狙撃されるんだ。
あの二人も連絡したけど、自分たちで解決しろの一言ですまされたよ。それがヤツラのやり方なんだってさ』
『PeJ、また探査したんか!危険だぞ!いいかげんにやめるんだ!』
『了解したよ。
でも情報は熱いうちに使わないと価値ないよ。そう教えたのはJだよ。
あっ、大通りに出たよ』
ジョーは進むにつれて、視界の揺れをさらに少なくした。
ビルとビルの間の狭い路地を抜け、通りへ出て身体の揺れを止めた。
クラッシュが完全に抜けたように、ジョーは足取りをしっかりさせた。
手首から先を失った右腕が激しく痛みだした。
ジョーはニオブと異なる独自な精神思考域に、身体の神経経路を呼びだして、右手首から先の神経回路を思考で仮想再生修復した。
神経回路から手首を失った痛みが消えた。
しかし、ジョーは演技した。右手首手前をしっかり握りしめて、左手の甲に血管が浮きあがらせ、BA巡航弾が入った口で、
「アーマーを皆殺しにしてやる!」
と呻きながら歩いてみせた。
ジョーは路地を抜けて、アシュロン中心地へ延びる、砂にまみれた南北五十一番街の歩道をビルにそって北へ歩いた。狙撃された場合、いつでもビルの間に身を隠せるように周囲のビルを警戒した。頭に蠅のPeJがいるが、ジョーは気にしなかった。
歩く、ビルの合間に身を隠すをくりかえすと、通りの先に大きなビルが見えてきた。ビル正面は古代建築様式のような白亜の巨大な石柱が並び、正面の石柱の梁に巨大怪鳥カプルコンドラの巨大モニュメントがある。四つの惑星を鋭い爪の両足で鷲掴みにするのは、惑星カプラム最強の猛禽の、巨大怪鳥カプルコンドラだ。
その上に、惑星テスロンの言語テスランの語源になった古代テスローネ言語で「アシュロン商会」と書かれている。再建されたアシュロン商会はもとのアシュロン商会そのままだ。
『J。なんで、ここに来たんだろう』
アシュロン商会本部の機能がニューアシュロンのアシュロン商会本部へ移ったため、このアシュロン商会本部は活動を控えている。
『PeJ。ジョーから離れろ。安全な場所から商会ビルの4D映像を送ってくれ』
『了解!』
4D映像が移動して、ジョーの後ろ姿になった。同時に、衝撃波が4D映像に現われた。特殊発砲音が響いている。
ロドニュウム弾だ!
瞬時にPeJが避難して、ビル外壁が映像に現われた。
『弾丸はジョーに当たってないよ!
ジョーが応戦してるよ!』
目の前にアシュロン商会本部ビルが見える。
ジョーは左手でジャケットのポケットから粒子ビーム銃を取りだして、アシュロン商会本部ビルへ連射し、大通り中央をジクザクに走って商会本部ビルの入口へ突進した。
立て続けに、商会本部ビルからジョーに向ってロドニュウム弾が飛びかった。
ジョーは巧みに銃弾をかわして、白亜の石柱に身を隠し、商会本部ビルの奥へ粒子ビームを連射した。ジョーが身を隠した石柱は、ロドニュウム弾の直撃を受けて、一発ごとに破片を飛び散らせて細くなってゆく。
マリーは腰部からBA巡航弾を取って、身を潜めていたビルの屋上に立ちあがった。精神思考域(心の領域)に、惑星ユングの静止軌道にいる巨大攻撃用球体型宇宙戦艦〈オリオン〉のAI・PDを呼んで、BA巡航弾のピンを抜いた。
『PD。商会内部のヒューマノイドがターゲットだ』
『了解しました』
PDの応答を確認して、マリーはBA巡航弾を商会本部ビルへ放った。
BAはファルコンのように飛翔して、マリーの精神思考域に現われているPeJの4D映像に出現し、ビル内へ飛びこんで、一瞬にビルを破壊した。
爆発衝撃で、ジョーが身を隠している白亜の石柱が崩れおちた。
ジョーは倒れてきた石柱の間に挟まれて呻いた。
粒子ビーム銃は倒れた石柱に潰されて破壊している。
マリーはバトルスーツの運動機能強化スイッチが入っているのを確認し、隣のビルからビルへ跳躍をくりかえして、アシュロン商会本部ビルの崩れおちた石柱の前に立った。
「同じ質問を三度はしない。怪我したか?」
マリーは倒れているジョーの頭部近くに跪き、口を塞ぐBA巡航弾にピンを刺した。
BA巡航弾は大粒のキャンディーほどに収縮して、ジョーの口から外れた。
「丸腰だ。動けねえ。ひと思いに殺せ」
ジョーは呻くように言った。
マリーは俺を殺さない。俺を殺すなら右手を失った時に殺してる・・・。
「例のカプセルを持ってるか?」
PeJがJの耳元に飛んできて言う。
『胸のポケットにあるよ、J』
『わかってる。飛びまわらずに、私の耳の後ろに隠れて見てろ』
『了解したよ』
「胸ポケットに入ってる。全部まとめて噴射してくれ。痛みを感じないまま死ねる。
精神と意識と遺伝子のバックアップは取ってある。死んでも復活できるさ」
「わかった・・・」
マリーはジョーの胸ポケットから、三分の一が残った使いかけのインジェクターを抜きだてし、ジョーの右腕に全てを噴射した。
「殺さねえのか?」
ジョーは言葉の後半を不明瞭にした。意識が朦朧としているのを装った。
「痛むぞ。がまんしろ」
マリーは、ジョーの脚部と腰部を圧迫している石柱をレーザービーム銃で細切れにして取り除いた。さらに、バトルアーマーの背から簡易再生培養装備のパーツを取りだして、ジョーの右手首と粉砕したジョーの脚部と腰部にセットし、簡易再生培養を開始した。
「よく聞け。クラッシュを解毒するな。
簡易培養だ。怪我した時と同様の痛みを伴う。
クラッシュがあって運が良かったな」
「なんで、こんな事をする?」
ジョーは呻くようにそう言った。
クラッシュが効いても激しい痛みがある。今にも意識が飛びそうだ・・・。
ジョーは、精神思考域内に記録してある、手首の破損部の神経経路を、ふたたび思考で仮想再生修復して痛みを消去した。しかし、激しい痛みが現れているのを装った。
「お前はクラッシュ売買で私に捕えられた時から、私の犬とみなされたんだ。
帝国軍からクラッシュ売人の反体制分子とみなされ、商会からは帝国軍警察の犬とみなされた。このテレス星団に逃げ場はない」
「なぜこんなことをする?」
「ドレッド・ジョーが軍警察重武装コンバットの犬になったと帝国軍アーマーに連絡して、アシュロン商会を突っつけば、嫌でもお前がアシュロン商会を潰してくれる。
いい方法だろう?」
「オレを餌にするのか?」
ジョーは呻いて、クラッシュの効き目が薄いのを装った。
「当然だ。ロドニュウム採掘者のユンガをクラッシュで食い物にした報いだ」
「このまま、放りだすのか?」
酔ったような口調でジョーがそう言った。
「資金提供する。装備を揃えてアシュロン商会を潰せ。商会のシマはお前の物だ」
「オレをどうする気だ?」
「自分のシマを持ったらどうするか考えろ」
ジョーの身体部位は順調に再生している。
『マリー。順調か?』
カールから精神思考が伝わった。
『ああ、完了だ。
PeJ、カールに4D映像を送ってくれ!』
『了解したよ』
PeJが、大破したアシュロン商会ビルとジョーの4D映像と、これまで記録していたジョーの4D映像を送信した。
『マリー、戻れ。被害者が出た』
『了解した。PeJ、戻るぞ』
『了解したよ』
PeJがマリーの髪に侵入した。
「そろそろ、再生完了だ」
簡易再生培養装備の再生完了ランプが点滅した。
マリーは装備を全パーツごとに外した。
「新しい手脚がなじむのに、しばらくかかる。
カプラムのお前ならどうってことない。
クラッシュを解毒したように、異物特性を認識してすぐになじむさ」
「ダナル基地へ戻るのか?」
ジョーは新品の右手をさすりながら、あえてテレス帝国軍装甲武装兵士アーマーと思っていたかの如く言った。
惑星ユングの帝国軍本部はダナル大陸中央のダナル州ダナルのダナル軍事基地にある。
ダナルはアシュロンから北へ二百キロメートル離れている。
「ああ、フォースバレーの本部にな」
マリーは簡易再生培養装備のパーツをバトルアーマーの背に格納した。
「アーマーじゃねえのか?」
ジョーは驚いたふりをしてマリーを見た。
「私は惑星ユング駐留のテレス帝国軍警察重武装戦闘員コンバットだ。
一応、テレス帝国軍に所属している・・・」
マリーはジョーにそう言った。
やはりな・・・。だが、それだけではないだろう・・・。
ジョーは精神の奥底で笑みを浮かベた。
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