シスター服の先輩が天使すぎた

良い夢を見た気がする。

あれから俺は寝落ちしたらしい。


窓に映る“明けの明星”らしき風景。

夜と朝の狭間に俺は起きたようだ。


スマホで時間を確認すると午前四時半だった。健康的な早寝早起きとなってしまった。


更に先輩からメッセージがあった。


……やっべ、寝落ちして反応できなかった。



柚:さっきは変な写真送ってごめんね。恥ずかしいから消してね!

柚:……あれ、愁くん? 寝ちゃったのかな

柚:明日、土曜日だから遊びに行くね



そうだ。今日は『土曜日』だった。

そういえば、前に先輩がシスター服のコスプレをしてくれると言っていた。もしかしたら、コスして来てくれるかも。


楽しみだなぁ。


ワクワクしながら、俺は朝シャワーへ。



* * *



店の開店オープンまでヒマなので、俺は久しぶりに『WizardウィザードOnlineオンライン』にログイン。


PC/CS機/スマホと多くの端末で対応しており、そのせいか接続数は圧倒的。俺はβベータテストからプレイしているが、ここまでハマったゲームは久しぶりだ。



WOを起動し、キャラクターを選択して異世界へ降り立つ。すると、直ぐにギルドメンバーからチャットが飛んできた。


俺は中堅ギルドに所属していたのだ。



バレンシア:やあ、オータムくん!



ゲームの世界では俺は『オータム』と名乗っていた。俺の名を呼ぶのはウォーロックのバレンシアさんだった。ネトゲー仲間だ。リアルで会ったことはないけど。



オータム:おはようございます、バレンシアさん。早いですね

バレンシア:ちょっと気晴らしにね~

オータム:なにかあったんです?

バレンシア:昨日、学校でさ~いろいろ事件があってね


オータム:へえ。……って、バレンシアさんって学生さんだったんですか

バレンシア:あれ、言ってなかったっけ?

オータム:聞いてないですよ。俺はてっきりOLさんかと


バレンシア:大人に思われていたんだね。でもハズレ。あたしはJKだよ~

オータム:女子高生だったんですか。意外すぎますね

バレンシア:今度、オフでもする?


オータム:住んでいる場所次第っすかね

バレンシア:千葉だけど


オータム:そんなアッサリと……って、千葉! 俺もっすよ。偶然ですね

バレンシア:え、マジ! どのへん?

オータム:くらですけど……



バレンシアさんからの反応が消えた。どうした? やっぱり気が変わったのかな。それならそれでいいんだけど。

けど、反応があった。



バレンシア:え……あたしも佐倉市なんだけど

オータム:はい!? バレンシアさんも? びっくりですね

バレンシア:今日とか明日に会える?

オータム:今日はちょっと用事があるので、明日とかどうです?

バレンシア:決定ね! 明日の十時に佐倉駅前集合で


オータム:分かりました。では明日


直後、親父が大声で叫んでいた。

俺を呼んでいるっぽいな。


バレンシア:まさか同じ市に住んでるなんて……

オータム:すみません、バレンシアさん。俺は落ちます


バレンシア:えー、もう!? まあいっか。明日会えるんだし、じゃあね

オータム:申し訳ないです。ではでは



俺はWOからログアウトした。



「――愁、さっさと降りてこい。って、ゲームしていたのか」

「おはよう、親父。すまんすまん、ちょっと忙しかった」

「そんな場合ではないぞ。店の外を見てみろ」


「え?」



部屋から出て、冒険者ギルドの方へ。

窓を覗くと――そこにはコスプレしている先輩が立っていた。……え、もう!?


まだ開店まで一時間はあるのに。


待たせるわけにもいかないな。


扉を開け、俺は姿を出した。



「お、おはよう……愁くん」



恥ずかしそうに挨拶する先輩。

神々しすぎるシスター服姿だ。


体のおうとつが激しく、胸もお尻も曲線美。なんと美しい……。

スカートはスリットになっていて、ふとももの主張が強い。刺激も強いし、なんて攻撃力の高さだ。俺はクリティカルダメージを受けた。



「と、突然ですね」

「いきなり押しかけてごめんね」

「いいですよ、先輩なら! 嬉しいっす……!」


朝から先輩のコスプレが見られるだなんて眼福だ。


「は、恥ずかしいね……えへへ」

「めちゃくちゃ可愛いっす。ちなみに、その銀髪は染めたんです?」

「さすがにウィッグだよ~」


自然で分からないものだな。

今のコスプレってクオリティ高いなぁ。


「立ち話もなんですし、冒険者ギルドに入りましょう」

「開店前だったよね。無理に来てごめんね」

「ああ、それなんですけどね。俺も先輩もバイトとして雇って貰えるようです。だから、問題ないんですよ」


「本当に! 良かった。じゃあ、これから一緒にお仕事しなきゃだね」

「はい。先輩はそのままの姿でいいと思いますよ」

「うん、同棲の為にがんばるね」


「……っ」


そうだった。真の目的はそれだった。俺は先輩と一緒に居る為に、冒険者ギルドでがんばろうと決意したのだった。


逆に先輩もそれを望んでいる。

なら、失望させないよう必死にお金を稼がなきゃな。



「ギルドに入る前に、愁くんの部屋に行っていい?」

「マジっすか。いいですけど……緊張で俺ヤバイかもです。今でも心臓バクバクしていますよ……」


「わ、わたしも恥ずかしすぎて死んじゃいそう。でも、愁くんに見て欲しかったから……」


なんて可愛さだ。天使か、天使なのか。くそう、胸がキュンキュンして辛すぎるぜ。涙が出そうだ。嬉し泣きしていいかな……?



「……ッッ」

「愁くん、大丈夫!?」

「先輩が可愛かったので泣きそうになりました」


「う……ぅぅ」



先輩はその場に轟沈。

顔から“ぷしゅー”と煙を上げていた……。


こんな激カワの先輩を部屋に招くとか、なにか間違いが起きてしまいそうだ。

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