第114話空蝉の よのひとごとの しげければ

題知らず

よみびとしらず


空蝉の よのひとごとの しげければ わすれぬものの かれぬべらなり

                      (恋歌四716)

※空蝉の:「世」にかかる枕詞。

※~べらなり:平安時代初期の流行語で、~のようです、の意味。



世間の人の噂が、とにかくうるさいので、あなたのことを忘れるということはないのですが、どうしても足が遠のいてしまうことになりそうなのです。


相手の女性と別れるために、「世間の噂がうるさい」と理由をつける。

「忘れるということはない」と、思わせぶりも言う。


捨てられる女性としては、情けない男、愛情が薄い男としか思えない。

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