第71話君をのみ 思ひねにねし 夢なれば
題知らず
みつね
君をのみ 思ひねにねし 夢なれば わが心から 見つるなりけり
(恋歌二608)
貴方のことだけを思って眠った時の夢だから、私の深い心ゆえなのです、貴方を見ることができたのは。
この時代は、「相手が自分のことを思っているから、自分の夢に出て来る」と、考えられていた。
しかし、この歌は、当時の考えと、逆を詠む。
「相手は自分のことなど、何も思っていない」「自分の相手への思い込みが強くて、自分の夢に出た」と詠む。
現代の「夢の原因」に対する考え方に近いものがある。
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