第7話 商品番号220907:トルマリンリング
黒色のリングケースを取り出したけれど、蓋が閉まっていて中身は見えない。
「次は新作のリングね。この宝石アイテムもお薦めよ」
「今回の宝石アイテムは数が足りるのかしら」
「大量購入できたから平気よ。さっそく見せるね。ジャジャジャジャジャー、ジャッジャジャーン」
ゆっくりと蓋を開けた。配信映像には最初にリング部分が見えて、半分以上に蓋が開くと青色の綺麗な宝石が顔を出した。
「吸い込まれるような、美しい青色のトルマリンです。手元が華やかにある色合いです。さっそくミレミランさんに着けてもらいましょう」
「エリ姉は気が早いよ。今回はこの宝石アイテムだけではないのよ」
「他にもあるの?」
「誰も一つだけと言っていないよ」
二つのリングケースをテーブルに置いて、さきほどと同様に蓋を開けた。
「両方とも素敵なトルマリンかしら。特に一つの宝石で二色あるのは珍しいです」
元の世界ではバイカラートルマリンと呼ばれている。色むらではなくて、本当に異なる色が連なっている。
「エリ姉の考えで正解よ。今回の商品はトルマリンリングの三点セット。最初の青色以外に、黄色のトルマリンと赤色と緑色の二色使いね」
複数の宝石アイテムがセットなのは事前に話していたので、ここまでは台本通りだった。このあとはアドリブで進めていく。
「色とりどりで華やかで、その日の気分でリングを着けられます。お姉さんには何色が似合うと思う?」
『断然、青色ですよね』
プロデューサーが私に同意を求めてきた。プロデューサーも自由な雰囲気を楽しんでいるみたい。
三点のリングを並べながら角度を変えた。配信映像がリングからエリ姉のみに切り替わった。その間にリングを番組スタッフに渡すけれど、会話は止めなかった。
「エリ姉には何色でも合うと思うよ。素敵な色合いが多いからセットでの販売ね」
「三点セットだから価格は高いのでしょう?」
「宝石を大量購入したから驚きの価格よ。それも今日だけの特別価格で金貨二枚。明日は金貨三枚だから注意してね。パーティーメンバーへの贈り物にも有効かな」
「でも指輪のサイズが不明だと贈れないかしら」
エリ姉が話題に食いついてきた。アドリブだけれど私の意図に気づいてくれた。配信映像は私とエリ姉の二人に戻っていた。
「このリングはフリーサイズだから気にしなくて平気よ。子供から大人まで、どの種族でも使える優れものね」
『モデルに切り替えます』
三点の指輪をはめた状態でミレミランさんが映った。
「フリーサイズなら指を選びません。ジュエリーとしての楽しみも増えます」
「通常のジュエリーではなくて宝石アイテムよ。雷魔法の強化だけれど詳細を教えてくれるかな」
トルマリンは静電気を発生させるから、元の世界では電気石とも呼ばれていた。雷魔法と相性がよいので、雷魔法の強化に使われる宝石だった。
「トルマリンリングは攻撃に特化した雷魔法の強化です。攻撃系魔法使いは持っていて損のない一品です」
「宝石の重さも0.5ビーンでおしゃれ感も満載よ。素材はイエローゴールドで、十五日以内の発送と返品可能な商品ね」
『オパールペンダントが売り切れました』
数を増やしたけれど、それでも足りなかったみたい。
「オパールペンダントは売り切れました。お買い上げ有り難うございました」
私とエリ姉が映ったので、私とエリ姉はお辞儀で感謝を表した。
「リングのデザインは、シンプルの中にも雷モチーフです」
「飽きないデザインは毎日使えるよね。性能はどのような感じかな」
「攻撃力アップはマイナにも分かるような実戦形式です」
『実戦の準備ができました』
ちょうどよいタイミングだった。
「それは楽しみ。ミレミランさんの魔法威力を比較するね」
配信映像がミレミランさんに切り替わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます