78(2)-「今まで仕事のことしか考えてなかった人が仕事から解放された時」
(凪元)
木々村くんは、古今泉さんに話しかけられて周りの人たちがざわついてることには、全く関心がないんだろうな。
気づいてすらいないだろう。
それに平時は、能力に関する会話だとかなり話すようになるけど、日常的な会話に関しては、話さなくても問題ない、と感じていそうだ。
(今は能力にかけられているので、能力に関する話でもスルーされてしまうけど)
僕が朝、古今泉ちゃんが話しかけに来た時に感じたことはそれだった。
木々村くんの中には、高校生活を送らないといけない、という考え方はあっても、普通の高校生活に馴染もう、という概念が希薄だ。(少なくとも僕はそう感じている)
僕の場合、情報収集しなきゃいけないってことで、それは仕事に入っているので、少なからず人と話すんだけど。
木々村くんの頭の中の構成要素は、自分の所属している組織にかなり傾いている。
下手したら四六時中、仕事のことを考えているのかもしれない。
でも、今みたいな状態になった時、木々村くんは、どんなことで埋め尽くされているのか?
今まで考えていたことのほとんどが学校内で考えられなくなっているだろう。
その代わりを学校生活は埋めているのか?それとも何もないままなのか?
学校内での、ボケボケでポンコツの状態から考えると、何も埋まってないんじゃないかな?って思うんだよね。
しかもそれでいて、こちらかは指摘しないと違和感すら感じないなんて。
からり空っぽなのでは?
定年退職で仕事を引退した後に、呆けてしまう男性のことを思い浮かべてしまう。
弱冠15歳にしてそんな風になるとは……。
木々村くんにかけられた能力は、すごい極悪な能力だよなぁ……。
木々村くんがどういった症状なのかは、検証した方がいいのかもしれないけど。
でも、それよりは木々村くんに能力をかけた存在を暴くのを急いだ方がいいかな。
手がかりは水沢上。能力者。
僕が知ってる能力者は他に古今泉ちゃん。
彼女も狙われてるかもしれないから、警戒しておかないとな。
僕自身も狙われてるかもしれないし。
自衛のために日記でもつけたほうがいいかもしれないな。
僕が明日に忙しいというのは本当だった。簡単に言えば、学校内での処理。
本格的に何とかしないと体育館の使用に影響出るからね。
明日体育館で行われる部活の際に、お出かけするつもりだった。
古今泉ちゃんも危ないかもとさっき言ったが、木々村くんがいるから大丈夫だろう。
学校外での木々村くんは、頼りになるだろうし。
きっと、学校内で勉強会なんて暴挙には出ないだろう。
それよりは僕が襲われる方が危険だな。
対能力者。
僕の力でどれほど対応できるのか、って感じ。
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