第4話

そうして、日は過ぎて行く。

もう直ぐ、中学生活も終わる。


「おい、卒業したら、卒業祝いをしようぜ!」

と、春樹が言い出す。


「ハルー卒業しても、同じ高校だから

意味が無いでしょう?」

と、女子達。


「いや、こういう事は大切だから、しなく

ちゃいけないんだ!」


「何?それ?誠二、勇介、浩ちゃんと

ハルーを、監視しとかないと、だんだん

ひどくなってるよ!頭が!」

と、女子達が言うと


「それは、言えるな!」

と、誠二達。


「おい!何言ってんだよ!みんなで!」

と、怒る春樹。

それでも、春樹が言う様に、卒業祝いを

する事になった。

みんなで、カラオケに行った。

みんな、歌が上手くて、聞き惚れてる

百合花。

最後に男子が、あの流行ったUSAを

ダンス付で、披露してくれると言うのだ。


「上手い!最高にカッコいいよ!」

と、女子達からの声援。

楽しい卒業祝いになった。

春樹は百合花に


「どう?少しは惚れた?」


「バーカ。」


ガクッ!

落ち込む春樹を、みんなで慰める。


「楽しかったな!じゃあ解散するか!」

春樹が言うと


「そうだね!」

と、女子達。

帰り際、春樹がこっそりと百合花に


「今日も頑張れよ!」


「うん!ありがとうハルー。」

そう言って、みんな帰って行った。

春樹の家は、複数のデイサービスの

施設を経営していて、裕福な家庭だった。

春樹は、この春休みに、一大決心を

していた。

百合花の事を、両親に打ち明けようと

していた。


「母さん。」


「何?」


「今度、父さんと母さんに、相談したい

事が有るんだけど!」


「何?」


「いや、父さんと一緒の時に言うから

何時だったら、一緒に話を聞いて貰えるかな?」


「ちょっと待って、お父さんに電話して

聞いてみようか?」


「うん。」


「お父さん、ごめんね仕事中に、あのね

春樹が私達2人に、相談したい事が有るん

だって、お父さん何時なら、時間有る?」


「そう、分かった、じゃあ春樹に言っとくね

じゃあね。」


「春樹、今日お父さんが、早目に帰って来て

くれるって。」


「本当に?」


「うん。」


「じゃあ、その時に話するから、ありがとう

母さん。」


(あの春樹が、あんなに改まって何だろう?)

と、気になる母。


「ただいま。」


「おかえりなさい。」


「おかえりなさい、父さん、今日は

ごめんなさい!僕の為に。」


「いや、いいよ!大事な息子の相談を

放っておく訳には、いかないだろう?」


「父さん、ありがとう!」


「じゃあ、リビングで話するか?」


「うん!」


「それで何だ?相談て言うのは。」


「あのー実は俺、中学の入学式の時に

陽山百合花って子に、一目惚れしたんだ!

その子が忘れ物したから、夜家に行ったら

お父さんから、暴力を受けていて、どうする

事も出来なくて、帰って来たんだ。」


「まぁー暴力!」


「うん、どうも、お父さんの会社の経営が

上手い事行って無くて、百合花が婚約したら

融資をするって言う会社の人が居るみたい

なんだけど、百合花が断るから、暴力を

振るわれてるみたいで、止めに入ると

おばさん迄が、暴力を振るわれてる

この前は、顔を腫らして学校に来てた、

本人は転んだって言ってたけど、嘘だよ!

でも15歳の俺には、どうする事も出来なくて、父さんと母さんに相談にのって欲しくて

今日、話したんだ。」


「他の家庭の問題だからな?難しいな、

でも暴力は駄目だな、その百合花ちゃん

だって、そんな結婚しても、幸せになんか

なれないだろう?」


「俺が百合花と、結婚するんだ!」


「えっ!」


「もう、プロポーズしてるから!」


「それで、百合花ちゃんは?」


「ヘヘヘ、ずっと断られてる。」


「何だ、それ!」


「いや、俺は諦めない!これから高校の

3年間、毎日プロポーズするから!」


「そもそも、春樹?付き合ってるのか?」


「ううん。」


「そっちが、先だろう?」


「そんな余裕は無いよ!婚約させられる

かも、分からないのに!」


「でも、順番はお付き合いからだぞ!」


「それは分かった、で、父さん、母さん

何かいい方法は無いかな?」


「うーん、思い切って離婚すると言っても

単純な理由では、なかなか離婚は認めて

貰えないし、裁判になると費用が要るし

一度、父さんの取引先の銀行に相談して

融資を頼んでみるよ!駄目なら、父さんが

保証人に、なってやるよ!」


「えっ!いいの?父さん。」


「今迄、お前がそんなに真剣に、何かを

頼んで来た事は、無かったからな!

よっぽど大切何だろう?百合花ちゃんが!」


「うん!」


「じゃあ、後は任せとけ!会社が上手く

行き出したら、もう暴力も振るわない

だろうから!」


「父さん、母さん、ありがとう!」

春樹は、ぼとぼと涙をこぼした。

そして、数週間後


「春樹、百合花ちゃんの所に融資が、出来そうだから、安心しろよ!」


「本当に!父さん、ありがとう!」


「お前はお前で、今やれる事を、一生懸命に

頑張れよ!あっ、後、勉強もな!」


「ハハハ、頑張るよ!両方とも、そして

父さんの仕事の、後をちゃんと継ぐからね

任せて!」


「おーこれは、頼もしいな!なぁ?母さん。」


「頼もしいですか?心配ですけどね?」


「母さん、何言ってんだよ!ちゃんと

勉強するから、大丈夫だよ!」


「はい、はい期待してますよ!」

楽しい家族だった。

百合花の家は、融資が受けれると言う事で

婚約の話も、無くなり、落ち着きを取り戻した。

百合花は、心からホッとした。


(良かった~これで婚約しなくて、済むんだ

そうだ、ハルーには、報告しないと。)

嬉しい百合花だった。



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