第7話 眠れないからという理由で幼馴染が俺のベットに入ってきたんだが…
その後、特に今日は宿題もないし、明日も授業はないため早めに寝ることにした俺たちは決めた通りにアリシアが上、俺が下のベットに入る。
しばらくてして。
ふとんに入ってもなかなか眠れないため、少し考えごとをする。
改めて。アリシアと同じ部屋に住むことになった。それなのに、総合的になぜかすごく落ち着いている自分がいる。あのタオル事件(勝手にそう呼ぶことにした)を除いては。
どうしてだろうか。俺はいろいろと考えてみた。
久しぶりの再会だからおっけー?ってわけでもない。
じゃあやっぱりアリシアは親友だから?そうだけどなにかが引っかかる。
そもそもアリシアは女子だ。同じ学年の男女が同じ部屋に住むとなるといろいろと思うことがあるのかもしれないが、俺はやはり落ち着いていると思う。
「……」
アリシアは上のベット、俺は下で寝ることになっている。アリシアはまだ寝れていないのか、数分すると寝返りを打つ音が聞こえる。
こんな、自分の部屋に他の人がいるのがすごく新鮮だ。今年でこの学園も2年目だが、一年のときからずっと一人だったため、他の人がいるというのが慣れない。
ちなみにそのせいで俺も寝れてないかもしれない。
「……ロワ、起きてる?」
小声でアリシアが上から顔を出して、俺を覗くように見ている。ちょうど俺も退屈していたため、
「起きてる」
と、普通の声で返した。すると、アリシアが上のベットからはしごを使って降りてきた。
「えへへ」
俺のベットに座って、小さく笑っている。外の星の光がうまい具合にアリシアの顔に当たっていて、表情がよく見えていた。
「寝れないよなぁ」
「だねー」
お互い、眠れず。ここで明かりをつけると、さらに眠れないのは言わずともわかっていたため、その場にフリーズ。
しばらくして、俺のふとんの左手側に温かく柔らかい感触があった。
「……」
おそるおそる左を向くと、目の前にドアップのアリシアがいた。すごく近い。ちなみになぜかふとんの中に潜っていた。
「あの…出てってもらっていいですか?」
俺が呆れた感じで言うと、アリシアがさらに身を寄せてくる。服も掴まれて、とても出るつもりはなさそうだ。
「やだ」
「もう、わがまま言ってないで早く出ろって」
「覚えてる?昔、一緒にお泊まり会したとき」
俺の話を無視して、アリシアが語り始めた。これは止められないと思い、俺も思い出に思いを馳せつつ、聞くことにした。
「あのときは楽しかったよなぁ」
「だよねー。お互い、お風呂で背中流し合って、一緒にたくさん遊んで」
「なんでそんなこと覚えてんだよ…」
「じゃあ逆にロワはなにが印象的だったの?」
俺は右手を顎に当てて少し考える素振りをする。だが、特になにも考えてなんていない。
「そうだな…」
と言って、時間を引き伸ばす。アリシアは「まさかなにもないの?」と不安そうだったが、スルー。やがて、一つ思い出した。
「そうだな…。違う話になるけど、アリシアが誰とでも仲良くできる姿を見たときはすごく羨ましかったし、あの頃あまり友達がいなかった俺に声をかけてくれたときはすっごくうれしかった」
「そ、そう…」
とりあえず言ってみたのだが、アリシアの様子がおかしい。なぜか、俺の言葉に固まっているというか…逆になんの返事もなくて少し怖いくらいだ。
なにかあったかもしれないと、俺はアリシアの方向に体を半回転させる。すると、アリシアが赤面していた。
「み、見ないでぇ…」
「おまえ、こんなに表情豊かだったか?」
「昔から表情豊かです!ロワのバカ…なに急にまじめな話してんの…」
両手で顔を隠すようにしていた。それでも、隠しきれていない部分が赤く染まっていたのを俺は見逃さなかった。
でも、こんな反応をされてしまってはこちらとしても話を続けずらい。
「なにか話せって言ったのはそっちだろ…」
「でも!こんなまじめな話を今するときじゃないでしょ…」
現在、星がよく見える真夜中。ちなみにさっきもカーテンから光が差し込んでいたため星を見たい人は今日がチャンスかもですよ〜
「ああもう…おやすみ!」
俺は勢いで再び元の向きに半回転して、そのまま目を瞑った。隣にいたアリシアをすっかり忘れて。
「わたしが、声をかけた…わたしが…。そっか。そんなふうに思ってくれてたんだ…ちょっとうれしい」
アリシアはしばらくして、はしごで自分のベットに戻り、この一室に再び静寂が訪れたのだった。
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