第170話 英雄の帰還
170
西暦二〇X二年六月三〇日午後。
「皆、助けに来たぞ!」
額に十字傷を刻まれた少年、
そうして〝緋色の手袋〟をつけた両手から五メートルを超える長い衝撃の刃を振るうや、〝
「衝撃に反射というアクセントを加えることで射程が伸びて、威力もあがっている。実戦でも充分に使えるぞ!」
「AAA!?」
全長一〇メートルに達する巨大な鋼鉄の怪物、
「ふざけるな、ふざけるなああっ」
一方、
元勇者でありながら、いまやテロリストの首魁に堕ちた青年は、心臓部にあたるコックピットでケラウノスを操りながら、ツーブロックにまとめたオレンジ色の髪を両手でかきむしり、殺意のこもった雄叫びをあげる。
「一度死んだ男がさまよい出てくるんじゃない。
「
桃太がそう啓介を
新月の夜がごとくに真っ暗だった焔学園二年一組と、勇者パーティ〝
「桃太おにーさん、必ず戻ってくるって信じていたサメエ」
「ええ、それでこそ桃太君。わたしの大切な、自慢の男の子です!」
栗色の髪を赤いリボンで結んだ担任教師、
「アハッ、アハハ。知らないぞ、妾は。この感情、この胸の高鳴り、実に楽しい!」
昆布のように艶のない黒髪の少女、
「出雲の野郎、心配させやがって」
「やっぱり生きていたんだっ」
「遅いぞ。だが及第点だ」
リーゼントが雄々しい、
「あれが、新たな英雄か!」
「
勇者パーティ〝
「黙れ! 英雄も勇者も、私の為の称号だあ。」
啓介は狂乱のあまり、神鳴鬼ケラウノスの巨体で清水砦の
「戦闘機能選択、モード〝
黒騎士はバイクを止めて、巨大な鬼に向かって銃弾を三発放ち、狙い違わずコックピットのある胸部に直撃させた。
「あ、あいつ、銃を使ったぞ!?」
「ひょっとして奴も、勇者パーティ〝
「ケラウノスを倒せる!?」
焔学園二年一組の生徒と、冒険者達は期待に目を輝かせたが……。
「キシシシ。無駄無駄あ。三縞家に伝わる〝勇者の秘奥〟、サイボーグ? それがどうしたああ? ケラウノスの装甲は、衝撃に干渉する日緋色金を
さしもの銃弾も、電気と重装甲に守られたケラウノスには歯が立たなかったようだ。
「エセ勇者と、〝
「黒騎士。大丈夫だ、俺たちは負けない!」
「!!」
――――――
あとがき
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