転生したら、光源氏の妹だった。

みお

桐壺《きりつぼ》

第1話 混乱

「・・・姫宮さま。女四宮様。」

「ん?」

「もうお起きになるお時間でございます。」

「え?」


 薄暗い中周りを見渡すと、純和風な光景がひろがっていた。平安時代?ぼーっとしている間に頭の中に記憶が流れ込んでくる。私の知っている時代じゃないということだけがわかった。


乳母めのと・・・今日は体調がすぐれないの。」

「あら、大変。薬師をお呼びになって。あと、誰か帝にご連絡を・・・」

 帝?さっき宮と言われてたから内親王だとは思ったけれども、そんなにすぐ帝に連絡できるものなのかな。

「大丈夫。少し眠ります。」

 そう言って、慌てている女房たちを放置して寝たふりをした。


 私は・・・名前は思い出せない。大学で研究をしていたことだけは覚えてる。源氏物語の研究をしていた。源氏物語のことばっかり考えすぎて夢にでも見ているのかな。寝よう。



「宮は、どうなのだ。」

「眠っておられます。」

 話し声で目が覚めた。帝が来てるというの?母親の身分がとても高いのかな。中宮とか?それならいい生活ができそう。


「姫宮様、お起きですか?お父君が来られていますよ。」

「お父様?」

「ああ宮。大丈夫かい?お母上のように儚くなってしまったかと思い心配したよ。」

 え・・・母親亡くなってるの!?後見いないじゃない。

「もう大丈夫です。」

「そうか。よかった。」

「ああ、兄君同様、母君によく似て。先が楽しみだ。」

「うれしゅうございます。」

 この帝は、亡くなった母を溺愛してるとみた。そして後見はいない。いや、母親の実家次第か。もし、後見がいないなら、この帝の愛情一つで持つ我が身ということね。リアルな夢。

 父の帝は、控える女房たちに指図をして部屋からでていった。

 あの兄君というのが気になる。

 とりあえず、この夢はいつ覚めるのかしら。


 寝て起きた。これはもしかして夢ではないかも。いや、夢だとしてももっと進めないと起きれないのかもしれない。それなら情報収集だ。

「ねぇ乳母めのと。お父様のことを教えて。」

「あら、姫宮様、お起きですか?」

「ええ。」

「姫宮様のお父様は、桐壺の帝と申し上げる帝でございます。・・・・」

 桐壺の帝!ちょっと待って。桐壺の帝ってどういうこと?

「あの、お母様は?」

「お母様の御息所みやすんどころさまは、すでに儚くおなりです。今姫宮様がお賜りになっている桐壺に更衣として入内されて帝の寵愛厚く、時めきなさいましたが、嫉妬されてしまい体をお壊しになってしまいました。」

 母が桐壺更衣・・・。詰んだ。後見いない。これははやいところ誠実な男性(源氏物語にいるのか・・・)に降嫁しないと。

「あの兄君は?」

「お兄様は光る君と呼ばれまして、帝と行動を共にされていらっしゃいます。」

 光源氏はいるらしい。

 どうしよう。

「わかったわ。ありがとう。もう少し寝るわ。」

「はい。わかりました。おやすみなさいませ。」

 情報を整理するために、もう一度寝たふりをした。

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