シアと馬鹿のトラウマ・フラッシュバック…後編〜叶わなくとも…届かなくも…伝わらなくとも…

※間が空き過ぎた為、前回までのお話。

太郎とシアの妹、サラの海デートを覗く事を敢行したシアと恋愛師範T。デートも後半、イチャラブはマックス(シアから見て)になり2人は砂浜でキスを…悲しみにくれるシア…おや?その時Tの様子が…


―――――――――――――――――――――――――


 Tがブツブツ、砂浜でなにか言っている。私の悲しみや慟哭はそっちのけで独り言を言いながら変な棒を尻に当てている…そしてその棒を押し入れろと言っている…馬鹿か!?

 私は入れるわけなく、無視していた。

 

「ヤバ…異世界…行く……コレ…早く…シャ…」


 私はそれでも無視して太郎とサラの事を見ていた。しかし私は落ち着いてショックを受ける事も出来ない。

 

「まーた、タツ姉さんやってますよ…」

「本当に何ですぐこうなるのかしら?コレであのスペックって本当にピーキーですねぇ」


 知らない間にまたすぐ近くに女性が2人…いたからだ…この人はなんかおかしな人達に支持を得ている様ですぐ変人が集まってくるようだ。


 何故なら2人が巫女っぽいスクール水着だからだ…しかも歳上っぽい…コスプレ?

 多分、歳は上だろうけど幼い感じの2人組…多分双子かな?顔がそっくりだ。


「双子…馬鹿…お前らで…良い…早く…入れろ…イク…異世界イク…」


「姉さん、この人はテレビで見た事あるよ?シアラちゃんじゃない?有名人だよ?こんにちは!」

「はぁー!?タツ姉さんの話はホントだったんですねぇ…またいつもの妄想や虚言かと思いましたが…はじめまして私は姉のカミナ、こっちは妹のシモネです。シアラさんですよね?」


「は、はじめまして!す、凄い水着ですね?」


 聞いた瞬間に、姉のカミナさんという人の顔がカーッと赤くなった。


「な、何ですか?いきなり!着たくて着ている訳では無いんですよ?分かりますか?あ、貴女だって!赤い凄いの着てるじゃないですか?」


「あ!すいません…ついこの人の仲間だと思って」


 あぁこの人達も着させられてるのかなと思いながら挨拶をしていると横から奇っ怪な声が聞こえる。


「お前らの…ジャブから始まる…クソ挨拶…やめろ…早く…はや…入れろ…アァ…」


「安心して下さい、姉さん。ヒロさん来ますから。もうすぐそこまで、スタンガン持ってきてますから。入れて貰えますよ、スタンガン」


 その瞬間、Tの目がクワッと開いた後…ヨタヨタと私の耳元まで来て顔を寄せた…


「シャー…よく聞け…一つ…オレはタツじゃない…二つ…オレはキスのショックでキゼツした…三つ…オレとシゃー、そしてこの外人は…偶然会った…後…後は…何だ?…後は…」


 何かブツブツ言い訳みたいなのを延々と耳元で話し続ける…気絶している設定の割にはよく喋るな…


 ザッシュザッシュザッシュ…


 少し離れた所から金属っぽい棒と細いケーブルみたいなものを持った男性が歩いてきた。

 身長は低めだけど細マッチョな感じの…顔はキツイ感じのちょっと怖い人が笑顔で歩いてくる。

 

「お~い!タツぅ〜!聞いてんのかぁ〜タツッ!」


 声が聞こえた瞬間に白目になって私に寄っかかって向かい合い抱き合うカップルの様に、気絶した風の動きをするT…いや、タツさん。

 まるで大型犬の様にのしかかってきてビクンビクんしているT…タツ…さん。

 変な体重のかけ方をしてくるので、支えないと私ごと倒れる体重のかけ方だ…


「あ、初めまして!シアラさんですね?根多博之と申します。そこのデカい犬みたいなの…龍虎の旦那です。この度はシアラさんにご迷惑をおかけしたみたいで…大変申し訳ありませんでした、ほら!タツ!迷惑をかけるな!」


 犬みたいに叱りつけながら頭を90度の角度に下げ謝る根多さん…

 よく見ると白のYシャツにネクタイ、スラックス履いてて…仕事中なのかな?

 

「シャー…ヒロに…タツじゃないし、気絶したって言え…シャー…オレを…助けろ…」


 小声で、私の耳元に気絶設定のタツさんがささやく…多分根多さんにも聞こえてる…少し根多さんの血管が浮いた気がしたが、とりあえず言おう。


「ね、根多さん…この人は…タツじゃないそうです…でも…キスがトラウマらしく…気絶しました」


「フッ…」


 何で今、私の耳元で笑った?コレでイケると思っているのか?


「そうですか、分かりました。ありがとうございます。しかしまぁ…そっか…じゃあ仕事サボって俺の仕事場に工事現場から鬼電があったタツには別の拷問だな。このタツじゃない人は気絶してるみたいだから別途、ケツの穴にスタンガン突っ込まないとな…この変な生き物は頑丈そうだしAEDの代わりに…なぁ?タツじゃない奴…意識の覚醒の為に沢山の虫を這わせないといけないなぁ…なぁ…タ、ツ、じ、や、な、い、や、つ?」


 急にビクビクビクッっとしたタツさん…耳元で何かコショコショうるさい…こんだけ根多さんが近ければ全部聞こえているだろ?

 何か青筋立ってて笑顔の根多さんが近付いてくる…


「シャー、一刻も早くオレを助けろ、手段は問わない、ヒロを説得しろ、あの拷問神は洒落にならんぞ?前にいた眼鏡もあの後、部屋にキリスト風にぶら下げされていた…このままいけば死人が出る、その死人はオレだ、明日の新聞にのッッッッッ!?!?!?オフッ!?♥」

 

 んん?あの人は奥さん殺すの!?気付けば根多さんの持っていた金属の棒が、Tの尻に刺さっていた…落ちた虹色の棒を蹴り飛ばす根多さん…


「ぐおおぉぉぉ…え、エネルギー棒が…」


「アレ、汚ぇから捨てろって言ったろ?てか、ケツに関係するものは全部捨てろ」


 棒に手を伸ばそうとするが、首根っこ掴まれ私から引き離される…離される瞬間、処刑開始寸前の犯罪者の様な、とても怯えた目で私を見てきたが、そんな目をされても私知らんし…


「オアアアアアアアッ!?♥ビリョビュキシャン!♥ショレはイカンマンッ!♥オホオオォォオオ!!♥ンゴ!?ッムゴォっ!♥モゴゴォっ!♥」


 自分で持っていた猿轡を着けられワイヤーでグルグル巻にされ何か水をかけた後…それ人間にやったら死ぬんじゃないかなって感じの電気の流れる音がした…


――――――――――――――――――――――


「本当にすいませんでした!私からもタツには強く言っときますので!」


「あ、いえ、それは別に…こちらこそすいません…何か…その、仕事中なのに私の妹と幼馴染がデートする所に来てもらっちゃったみたいで…こちらこそ申し訳ないです…け、敬語もやめてください。私はまだ高校生ですから」


 先程、口に出せないような事をタツさんにしていた根多さんが何度も頭を下げる。

 そのタツさんは砂浜に頭だけ出て、筒状のバケツ様な物を頭に被せられていた。

 チラッとバケツの中で何か蠢いていたが…被せられる瞬間、Tの顔が、人が死ぬ瞬間の顔みたいな感じだったが…まぁ見なかった事にしよう。


「そ、そうですか?いや、ごめんね。でも本当に申し訳ない。そうだな…何かお詫びしたいけども…」


 そうだ…この人達は何やら恋愛熟練者のような事をタツさんが言っていたな…Tのは嘘だったが…


「タツさんに聞きました…何やらとてもこじれた恋愛の末、結婚したと。もしよろしければ馴れ初めというか相談を…聞いてもらえませんか!?私は…その…そういう相談をできる人がいないので…」


 根多さんはタツさんの方を向き少し渋い顔をした後、多分参考にならないし、少しだけならとだけ言って簡潔に教えてくれた。


 子供の時から好きだった幼馴染と中学で付き合い、上手くいっていると思っていたが、その彼女は付き合う前から他の男性と性行為をしていた事。

 ただ、他人と性行為はしていたが当時の彼女の愛しているのは根多さんだけだったらしい。


 貞操観念とは不思議なもので、男女関係無く本当に人それぞれで…付き合ってからもずっとその行為は続いていた。


 根多さんは自分が嫉妬深い事、そして元彼女さんとは家族ぐるみの付き合いもあり、身体と心は別という考え方が許せなかったそうだ。

 ただ、認められなかった…納得出来なかったから…自分が悪いのか…彼女が悪かったのか…ひたすら原因を突き止めようとした結果…浮気を知ってから半年以上付き合っていたそうだ…長っ!?

 その時に何故かずっと横にいた、思春期までずっと男だと思っていたタツさんに、不貞を知って絶望に向かい合っていた時に救われ、気持ちが変わったらしい。

 なんか視界をチョロチョロと余計な事しかしてなかったけど…と、付け加えて…今とあんま変わらないんだな…



「初恋が実っても幸せになるとは限らない、恋心がなく付き合っても不幸せになるとは限らないって感じかな?ハハ、今は幸せだけど、自分でもよく分かんないな(笑)」


 確かにタツさんの思い出話をする時の幸せそうな笑顔…本人の前だとキレてる事が多いけど…


 私は…どうなんだろう?タロァが初恋だ…幸せになれるとは限らない…なれるとも思えなくなっている…タロァは…多分、私に恋心は無い…でも…付き合っても…不幸せになるとは限らない…難しいよ…


 根多さんは昔話をしながら照れくさそうにタツさんのバケツを取る…中で虫だらけになり目をガン瞑りのブルブルしているタツさん…バケツを取ったと分かると鷹のような目をして根多さんを見る…猿轡を外す根多さん。


「なぁ、タツ…俺達が恋愛相談を受けるなんて、百万年早いよな(笑)」


「オレは相談王になる!博之さんの…ヒロのアホ!幼少期からずっと私を信じろって言ってただろうが!後、大事な事端折った!ヒロが小学校の時!近隣の小学校や中学校から「キ○ガイ拷問王」「人殺し小学生」とか「殺人中学生」って呼ばれてて!そんなヒロに!オレだけが挑んだんだ!オレだけが見てたんだ!そのオレを虫まみれにしてボルチオパンチやオッパイパンチし続けたのに耐えた!それに引き換えあのイカ女はイカクセェ女なのに吸い寄せられて!オレを信じないからだ!そのオレをもっと大事にムゴォッ!?」

 

 首だけの状態で急に意味不明な事を叫び始めたタツさん…根多さんは即、猿轡をはめ直し顔にサッカーボールキックをした…また喋らなくなった。


「大事に思っているよ…拷問は悪かったけど人に言う事じゃない、後ボルチオやオッパイパンチは俺の拳や蹴りの先に素早く移動するお前の責任だ、俺じゃない」

 

 そうだ!と、急に手をポンっとやり思いついた顔の根多さん、タツさんは鷹のような目で見ている。


「好きな人のキス見るのは辛いよね、俺はまぁ全力の気持ち良いって叫んでる幼馴染の性行為見たけど…泣いたね、あの時は…それに人のだけ見るのは失礼だ、タツが迷惑かけたならタツのも見てもらおう。」


 根多さんからスマホを見せて貰う。パキっと猿轡が壊れる音がした…


「ガガガッッ!!!ヒロッ!それは人に見せるモノじゃない!オレの威厳が!プライバシーの侵害やぞ!リベンジポールノだ!」


 根多さんは何も言わず、私に見せるように【タツ…発狂】というフォルダの【タツの人殺し手前】動画を再生した…





『ビロが来なかっらぁ!♥せつなひ!♥しぇつないよぉ!♥ねとぉぉ!あいがめぇ!あいがぁぁぁあ!もう!ざまぁら!ぶんなぐっやるらぁ!♥』


 そこには女子高生時代と思われる今とあまり変わってないTことタツさんがいた…この人は高校時代からこんなバカみたいなタイツ着てるのか…そして急に大音量で鳴る叫び声…呂律は回ってない。

 そこは多分、道場か何かだと思われる場所。

 周りを目が見えてないゴリラの如く殴る、折る、のたうち回る…

 地面に固定されている多分、鉄か何かで出来ている太い棒が軒並み曲がっており、同じく鉄の鎖が千切れて散らばっている。人の顔写真を貼った壁はその顔ごとコンクリートに穴が開いている。

 後、何かよく見えないが液体が…根多さんの声で一言だけ『ワァオ、モンスターベアー…』と言った音声が聞こえた…


『またっ♥まけぇるぅ!♥らめらぁ!♥ひぃぃろおお♥たしゅけえてぇぇぇ!!!♥でらったらぁ♥とまらなぁぁ♥』

 ムムム、モリモリモリモリモリ

『ビロぉ…なんれきてくれないろぉ…グスン…しゃみしぃよぉ…うぅ…』


 泣き叫び色んなものを出しながら器物破損…というかゴリラが暴れて…最後は泣きながらクソ漏らした…

 正直、見てられない…この人も…なんてものを見せるのか…


「酷いざまでしょ?だけどね、人間、やっぱりどんな人でも悲しい時は悲しい、寂しい時は寂しいと思うんだ…だからそれを出さなければならない。溜め込んで1人で考えていても…負の感情は溜まり、そして腐り、ろくな選択をしなくなる。俺は溜め込むタイプだけど…こうやって出してくれる人が側にいてくれて良かったし、俺は溜め込みそうになって気持ちが落ちたらコレを見るんだ」


 やってる事が人間の所業ではないし、寂しいとウンコ出すんですか?

 落ち込みそうになったらコレを見るんですか?

 奥さんの若い時の泣きながらウンコ漏らす動画を!?

 仕事場で見られたらどういう言い訳をするの!?

 溜まってたからとか言うんですか!?


「タツから話を聞いたよ。よく意味が分からなかったけど…きっと太郎君は溜め込むタイプだから…もしシアラさんが俺の時のアイカと同じなら…やっぱり劣等感で言えないのかも知れない…でも…誰かに向けないと壊れちゃう…だからタツみたいには人間だから出来ないだろうけど…やれる事をやって、伝える事を伝えていけば良いんじゃないかな?心のまま、思っている事をそのまま正直にね…ウ~ン…何も解決になってないな…」


「心のまま…正直に…ですか…そうですね、タロァは溜まってもウンコの動画で、そういう事はしないというか…」


「え?なにが?」「あ!いえ、違います…」


 間違えて根多さんに心のままに伝えそうになった…でも…そう言われれば…そうなのかなぁ…学校で騒がれてれて…モデルの手伝い始めた頃ぐらいから距離を感じたし…私も…どこか大人ぶった態度…上から目線でタロァの事を見ていたのかも知れない…

 それと一つ気になるのが…


「それと…妹や私は何に巻き込まれているんですか?」


 アレ…最悪の未来のようなモノ…アレは本当に起きる事なのか…タツさんに聞いても分からないだろうから…


「あぁ、薬…合法ドラッグだよ。さっき言ってた元彼女が売春斡旋な上にドラッグまで扱ってたんだけども…海外から流れてきてるらしくてさ、法的な違法性が無いから一気に潰す以外、どうにも出来なくてね…あともうちょっと出元が見えたら解決出来そう何だって…シアラさんは自力でクソ共のドラッグから足を洗えたって…凄い精神力だよ…でもシアラさんのお母さんも、妹さんも大分進んでしまってるね…ごめんよ…」


「ドラッグ?私が?お母さんと…サラも…?何ですかそれ…」


 あの悪夢の原因…ドラッグ?私がおかしくなっていたのも…?じゃあサラは?今、大分進んでるって…

 私は…視界が歪み意識を足元がフラついた所を根多さんに支えられた。


「え?イクエから聞いたんじゃないの?ちょっ…大丈夫?おいっ!イクエ!?イクエェっ!」


「1回名前を呼べば来ます、2回名前を呼べば拷問すると判断します♥」


「うるせぇな…お前、シアラさんにちゃんと説明したんじゃないの?ちゃんと言った?」


「私がイったかどうか分かるのはキュンシュとイクエだけ、全部見せてあげて理解出来ない小娘はマジイキを知らない小娘だけ♥」


 訳の分からない会話は入ってこない…だけど…あれは現実で…既にサラは

 タロァとサラはもう幸せにはなれない…でも…昨日同じものを見ている筈のタロァは今日普通にデートしていた…タロァは私より深くサラと接しているから…気付かない筈無い…


 タロァ…一体何をするつもりなの?

 私は…どうすれば…



※時間がかかり過ぎて矛盾点があれば改稿するかもですが、そもそも矛盾ばかり…タロァ視点に戻り話を進めます!皆様申し訳ございません(安い土下座)




 

 


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