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夕月鋭音
NEW COMMER FROM WORLDS!
とある生まれたてアバターの記憶ログから
目覚めると、なんだか周りがポリゴンに覆われていた。
ここはどこだろう、自分はなにものなのだろう。
疑問が頭に浮かび上がるが、そこに小柄な女性が目の間に突然と現れる。
「初めまして、新しい住人であるアバター。アバターとは、元来の意味ではネット上の自分の分身ですが、ここではこの世界の電子の住人という意味で使われます。要するに、貴方は電子の体として生まれました。ようこそ、バーチャルの星海へ」
アバター、とそう呼ばれた自分は、目の前にいるクラゲのような足を持つ小柄な女性に注目する。
自身の体に注目する。なんと体全体がポリゴンのようなものでできていた。自身の体を触ると、人間の体に近い感触だが、ふわふわとした感覚を得ていた。
そもそもここにくるより前は何をしていたっけと思い出そうとするも……。
思い出せない。一体自分は何者なんだ。
自分自身に対して疑問を持つうちに、目の前の小柄な女性が声をかけ続けてきた。
「バーチャルの星海とは……まぁ世界がVRSNSみたいで、そこに衣食住の概念を持ち込んだ小宇宙です。詳しくはコチラを御覧ください」
なんだか情報の塊が頭の中にツッコまれていき、自分の頭の中で「バーチャルの星海」とやらの情報を瞬時に教え込まれる。
バーチャルの星海とは。
太陽系に存在する星の様に、小惑星が点在しており、専用の移動船で小規模な惑星間を移動する。
それぞれの小惑星では、VRSNSの様な風貌に近いデザインの建物が存在しており、独自の文明が存在している。
バーチャルの星海では、電子空間上にいるような状態になり、そこではVRSNSの様に、電子空間から物を取り出す事も可能。
移動も歩くような速さから光回線レベルの速度まで移動ができる。
〇食事について
バーチャルの星海に存在している時には、基本的にな食事や排泄は存在しない。
その代わり、「エレキ・エーテル」と呼ばれているエネルギーを摂取する事が可能。
「エナジー」とは、電子の球体であり、自身の体を強くする為に摂取をする目的として扱われている。発生源は不明だが、バーチャルの星海の住人が生活に用いている。
エナジーはまた、建築物製造にも使われるので、摂取に限らず扱う幅は広い。
創田達のように転生してきた人物達にどう作用するかは不明。
だが、ある研究では味や形等の加工ができると判明との事。
〇衣服について
VRSNSと同じように、様々な見た目に変わる事ができる。
アバター達は常日頃からおしゃれを楽しんでおり、多種多様な見た目を所持しているらしい。
〇住居について
一般的な居住区が存在。内部には人間社会と変わらない様子の部屋も多く、寝食を行う事も可能。
〇ネットワーク
動画サイトやSNS等が存在しており、一般の人間社会と同程度のネットインフラが整備されている。
正直、混乱しかなかった。
「安心してください。貴方は生まれたての存在ですので、正直状況がよく分からないのも当然です。一つずつ説明していきましょう」
小柄な女性に肩に手を置かれ、少しは落ち着く。とりあえずは、この方の説明を聞こうと思った。
「貴方は、本来は誰かの頭の中にあったイメージキャラクター……想像上の存在です。それが実体化して人間に近い存在となりました。この世界のエネルギーが実体化の役割を果たし、イメージキャラクターの存在を現実化させました」
自分は、想像上の人物だった? 突然の重大発表に、頭の中で動揺してしまっている。だが、自分には過去の記憶が全くない。思い出すというか、思い出す物が無いという感覚に近い。
「今、自分は誰だとか、ここはどこだ、とかと思っていますでしょう? その思考ができてる事自体が生物としての役割を得ております。なので、貴方は今新しい存在として自由に生を選択する事ができます」
「何も怖い事は無いですよ。赤ん坊様のように、人生が始まったんだと思えばいいのです」
なるほど。自分は生まれたての存在で、なにやら電気の力で実体を得て。そこで意思を持って生まれたというわけか。
ようやく自分という存在を認識した気がする。
「ナニヲ……すればいいのデスカ?」
「それは、貴方がイメージキャラクターとして生まれ持った役割を果たせばいいのです」
「ヤクワリ?」
「イメージキャラクターとは、いわゆる頭の中で自由にできる存在。それは仕事。それは創作。それは想像。それは冒険。それは恋愛。それは復讐。それは計算。それは翼。それは事象。それは世界。それは時間旅行。まぁ早い話、目的にそって向かうには何でもできる存在ではあります。なので、貴方の生まれた元となった世界の住人からの思考を頼りに貴方の役割を認識してください」
「ナニモ……オモイダセナクテ……」
「欠陥アバター? いやおそらくこの子は……無意識の想像……いや「夢」から生まれたアバターだから、この子が思い出すかどうかはわかりませんね」
「ドウシヨウ……」
「そうですね。ではこの『コロニー』の中の世界から得たログから役割の参考になるものを選んでください」
すると、目の前の女性が周囲からウインドウを大量に出現させ、それを自分にとある促しをしてきた。
「さあ、目の前の選択肢は無限ではありませんが、沢山あります。その中から、貴方が『良い』と思った感情を頼りに選んでいけばいいのですよ」
「世界を彩ったアーカイブズ……特と御覧あれ」
そう言われ、自分が目にした世界とは……。
『Vstar発展世界』
……アバターを纏うネット活動者、Vstarが約2億人いた世界。バーチャル関係の技術発展が著しい。
『機械融合世界』
……機械と人間との融合が発展した世界。人間の理から外れた発展が著しい。
『宇宙開拓世界』
……宇宙への開拓が進んだ世界。AR技術が発展している。
『柱世界』
……Vstarが柱の支えとして生命の源となる世界。
『塔世界』
……Vstarが隔離された住居同士の文化を繋ぐ役割を果たす世界。
『《レベル5制限》・デブリ』
……新たな世界を想像する世界。《レベル5制限》が世界を観測し、新しい世界の創造案を掲げる。
どの世界から見ていこうかな?
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