第2話 鬼の名前・丹生陽斗
長い髪をゆったりとしたおさげに結び、鳥の羽のようなまつ毛に眼元は甘く、口元も愛らしい。
少しばかりキツイ性格だが、そこは物事をはっきりと言う性格として変換されている。
名前のように、甘い匂いをさせる花に群がる虫のごとく彼女に好意を寄せる者は後を絶たない。
先日も隣のクラスの異性に呼び出されて告白されたと家でボヤいていた。
まったく会話をしたこともない人物だったので、丁重に断ったそうだ。
開いた窓の風がふわりとカーテンを撫でる。
膨らんだ姿が、この前履いていた桃花のスカートに似ているなとふとボンヤリと思い出していた。
ポケットからスマートフォンの振動を察し上着から取り出すと、桃花からのメッセージが入っていた。
豆腐忘れるな、とのことである。
最近近所で見つけた個人販売の豆腐屋が美味しくてハマっているのだそうだ。
今日から両親は旅行に出かけている。
食事は不自由しないようにと十分な食費を渡してもらったが、どうも桃花は料理したいらしい。
お互い片親同士で料理はある程度できるので、自分たちの好物を作る方が手っ取り早いのだ。
今日はその材料を買いだめするのでスーパーによるつもりなのだ。
陽斗はもちろん荷物持ちをさせられるのだろう。
既読がつくだろうと、了解、と心の中で承諾し陽斗はスマートフォンをポケットにしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます