聖女様side ⑤ 後編 ~これが私の初恋~

 聖女様side ⑤ 後編



 お手洗いを済ませ、お昼ご飯で軽くステーキを食べて、お腹を満たした私は、彼のあとを追うことを再開します。


 今の私の気持ちを知るために、私は彼のデートを観察しています。


 ふたりはそのあと、休憩スペースのゴミを片付けてゲームコーナーに向かいました。


 そこにはぬいぐるみやキーホルダーなどが取れるUFOキャッチャーなどがありました。


 ここではなにかアクシデントをけしかけるのは難しいですね。


 なんて思っていたら、


『おい!!お前ら!!また会ったな!!』


「……なんと、天然のアクシデントです」


 変なおじさんがふたりに絡んで行きました。


 彼は少し呆れたように対処していましたが、面倒になったのか、相手をすることにしたようです。


 どうやら、UFOキャッチャーで勝負をするらしいですが……


「あのおじさんは、何をしてるのでしょうか?」


 ひとりで勝手に機械を占拠し、イライラしながらずっとプレイしてます。

 止めに行った彼の手を跳ね除けてます。


 呆れた彼は、別の機械に向かいました。


「……はぁ、役に立たないおじさんですね」


 そう考えてると、彼が一発で彼女にぬいぐるみを取ってあげてました。


「……良いですね」


 私が羨ましく思っていると、小学生くらいの女の子が彼に話しかけてます。


 どうやらぬいぐるみを取って欲しいそうです。


 そのお願いを、彼は聞きいれたようで、二回目でぬいぐるみを取って上げてました。


 そして、女の子にぬいぐるみを上げると、


「……あ!!??」


 女の子が桐崎くんにキスしてるでは無いですか!!


 何してるんですか!!ズルい!!


 女の子は『大きくなったら結婚してあげる!!』と言って走っていきました。

 なるほど、私のライバルですね。


 ナンパですら怒らなかった藤崎さんが怒ってます。


 どんなに小さくても女の子は『女』ですからね。

 気持ちはわかりますよ?


 そうこうしてると、ふたりはお土産やさんに行きました。


 しばらく見てるとふたりは別行動になりました。


 そして、彼を追っていると彼はリストバンドを手にして頷きました。

 そして、もうひとつ。


 あれは……イルカのボールペン。


 それらを手にしてお会計を済ませていました。


 そして、会計を済ませると、それとは別のお土産を手にしました。


 あ、あれは!!


「イルカのおっぱい」


 やはり桐崎くんはえっちです!!

 あんな卑猥な!!

 だめですよそんなの!!

 もー!!いけない人です!!


 藤崎さんにもイルカのおっぱ……知りません!!


 を怒られてました。

 彼は開き直ってましたが。


 そして、お土産を買ったふたりはそれらをコインロッカーに詰め、イルカのショーに向かいました。


 ふたりはカッパを着て最前列で楽しんでました。

 私は最後尾でそれを見てました。








 そして、デートは佳境に入りました。





 ふたりは家に向かい、何やら公園で話してます。

 いい雰囲気ですね。


 私はどんどん胸が痛くなります。


 なんでこんなことをしてるのか……


 今日一日ずっと考えていました。


 そして、しばらくした時でした。


 彼が藤崎さんにリストバンドを渡しました。


 そのリストバンドを、彼女は嬉しそうにして、身に着けます。


 彼が……藤崎さんの名前を呼びます。


 何か、覚悟を決めた声でした。


 藤崎さんが返事をして、


 目を、


 閉じました……



 やだ、


 見たくない、


 私は目を逸らします。







 ……。


 …………。


 もうわかってます。


 私は、


 彼が、


 桐崎悠斗くんが、


 好きなんだ。





 これが、


 私の初恋……






 二人の決定的瞬間は、藤崎さんのお父さんの登場でなしになりました。


 ふたりが、家に入っていくの見た私は、家へと帰りました。



















 桐崎くん……


 大好きです……


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