学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる

味のないお茶

プロローグ ~学園の聖女様~

 プロローグ



 彼女は学園の聖女様と呼ばれていた。


 漆黒の髪は腰まで伸び、柔和な瞳にすらっとした鼻と薄紅色の唇。

 背丈は高過ぎず低過ぎずの160cmほど。

 体付きは女性らしさはしっかりと持ちながらも、バランスのとれた肢体。

 性格は良く言えば冷静沈着。悪く言えば無愛想。

 誰に対しても必要最低限の会話しかしない。

 告白してきた無数の男子に対して


「無理です」


 としか言わないのも有名な話。

 入学したばかりの最初の頃は同学年だけでなく、先輩からも多数の告白を受けてきたが、にべも無く切り捨て続けた結果、高校一年の終わりには誰一人として告白することも無くなり、


 遠目で見てるだけでいいよな。


 と言う結論に落ち着いた次第である。


 まあ、それもこれまでの話で、彼女が二年に進級すれば事情を知らない一年生が彼女に惚れて告白することは目に見えているが。


 一年間。同じクラスで彼女と過ごして来たが、俺と彼女の間で会話なんか数える程しかなく、学級委員を無理矢理やらされていた俺が提出物を受け取る際に、お礼を言う程度のおおよそ会話とは呼べないようなものを年に数回したレベルの間柄。


 そんな学園の聖女様と自分がまさかあんなことになるなんて言うのは、終業式を終えて、半年の間想いを寄せてきた彼女に告白をしようと考えてる俺には全く想像もしていなかった。



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