カレーの完成

三十分を経ったのを見て、お米のスイッチを押した。カレーのお鍋に、液状の出汁を投入する。五倍とか十倍とか書かれてる商品。10分ほど煮立てておく間に、私はパプリカサラダを器に盛り付けてラップをして冷蔵庫にしまった。


「サラダは、完成」


私は、龍ちゃんが食べ終わって寝に行ってから食べればいい。


ピピー


セットしたタイマーが鳴って、私は火を止める。カレー粉を入れて、かき混ぜてから水溶き片栗粉を投入する。とろみがつくまで混ぜれば完成。蓋をする。

キッチンの棚から、バスタオルを取り出した。これは、お鍋を保温して置いておく専用。


私は、お鍋をそれにくるりと包んだ。こうしておくと温かいし、食材に火がさらに通る。本当は、土鍋とかがいいのかも…。アルミシートがあればなおさらよかったりするのかな?それを包んで放置する。


「洗濯物畳まないと」


今日は、朝から天気がよかったのと家にいるから小さな庭に干していた。私は、庭に出て洗濯物を取り込んだ。結局、小さな赤ちゃん用の服は一度も干せなかった…。

取り込んだ洗濯物を畳む。


どうか、お願いです。皆月龍次郎に好きな人が出来ていませんように…。そう願いながら、龍ちゃんの洗濯物を畳む。

龍ちゃんは、私にとって、揺るがない人。家なら、土台。帰る場所があるから、私は不倫をしていた何て一番最低な奴。


私の前から、絶対にいなくならないって、どこにも行かないって教えたのは龍ちゃんだった。だから、私は龍ちゃんはどこにも行かないって信じてる。どんな事があっても、どんな事になっても、いなくならないって信じてる。


浮気したらどうする?とか聞いておけばよかったのかな…。そんな事を考えながら、洗濯を畳終えた。


自分が不倫をするなんて想像もつかなかった。私は、畳んだ洗濯物を持って行く。拓夢とこうなって初めてわかった、龍ちゃんだけじゃ埋まらなかった傷や悲しみがあった事…。


だけど、世間は面白おかしく叩くだろう。だから、拓夢ともう過ごしちゃいけない。拓夢は、芸能人になるんだから…。スキャンダルなんかあってはいけない。


私は、洗濯物をしまい終わった。


「あー、疲れた」


時刻は、四時半を回っていた。ダラダラと過ごしていたせいで、いつもの倍はかかっていた。


「龍ちゃんと新しいスーパー行くはずだったんだけどー」


私は、お水を入れてコップを持って二階に上がる。龍ちゃんが、いつ帰ってきてもいいように…。明日には、全部わかるよ。龍ちゃん、悪い話はないよね?信じていいんだよね?

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