怒らないで、拓夢
俺は、目覚ましをセットしてベッドにゴロリと横になった。すぐ後ろをついてきてた凛も横になった。
「怒らないで…拓夢」
そう言って、凛は俺にくっついてくる。
「龍ちゃんの方が、俺より大事なのわかってるから。それに、優しい人なのもわかってるから…。おやすみ」
俺は、少し乱暴に言っていた。
「ごめんね。もう、龍ちゃんの話はしないから」
凛は、そう言って俺に背を向ける。あー、またやった。俺は、何でこんなに余裕ないんだよ。おでこに手を当てながら考える。凛が旦那さんを愛してる気持ちごと好きなんだろ、俺。
「ごめん。話していい。俺、凛が旦那さんを愛してるのわかってるから…。龍ちゃんの話を聞かせてくれていい」
俺は、凛を後ろから抱き締める。
「ごめんね。私、やっぱり酷いよね…。拓夢を傷つけてるよね」
凛が泣いてるのがわかる。
「傷つけていいんだよ。俺は、凛にならいくらだって傷つけられていい。大丈夫だから、泣かないで」
俺は、凛の手を探して握りしめる。
「優しくされるから、甘えちゃうんだよ」
「いくらでも、甘えればいいんだよ」
「拓夢、ありがとう。私、拓夢に出会えて本当によかったって思ってる」
「俺もだよ、凛」
出会った事が、間違いだなんて思いたくなかった。俺は、凛と出会えた事に感謝しかしていない。
「おやすみ、凛」
「おやすみ、拓夢」
俺は、凛を抱き締めながら眠った。
◆
◆
◆
◆
◆
ピピピ、ピピピー
「うーん、はぁー」
伸びをしてから、起き上がる。隣に眠っていた凛は、いなかった。俺は、慌てて目覚まし時計を止めて、急いでキッチンに行った。
「おはよう!時間遅れそう?」
俺は、凛を見た瞬間、抱き締めていた。
「どうしたの?拓夢」
「いなくなったかと思った」
「いなくならないよ」
「帰るなら、ちゃんと帰るって言ってからにして」
「わかった」
凛は、そう言って俺を抱き締めてくれる。
「朝御飯作ったから、顔洗ってきて」
「うん」
俺は、凛から離れて洗面所に向かった。凛がいない事に、凄く動揺していた。顔を洗って、歯を磨く。俺は、キッチンに戻る。
「トレー、買ってきてもいいかな?」
ご飯を往復しながら、テーブルに運んでる凛は、そう言ってくる。
「いいよ!買ってきて」
「ごめんね。持ってくの大変だから」
「確かに、そうだよな」
凛は、コップに入れた水を俺に差し出してくれる。
「じゃあ、洗濯したら買い物に行くね!食材も買いたいから」
「駅前なら、何でもそろうし…。気をつけて行っておいで」
「ありがとう」
テーブルに朝御飯が並べられる。俺と凛は、向かい合った。
『いただきます』そう言って、俺は凛の作った朝御飯を食べ始める。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます