誘わないの?

「そういえば、明日凛さん誘わないの?」


しゅんが、俺を見つめて話しかけてきた。


「あっ!メッセージしてみる」


俺は、凛にメッセージを送った。


「時間って何時だっけ?」


「相沢さんに聞いてなかった」


「俺、聞いたよ!6時かららしいよ」


「助かる!ありがとう、まっつん」


俺は、凛に6時からライブがあるから、来れるならライブハウスに来て欲しいと住所も送った。


「拓夢、送れた?」


「うん!バッチリ」


「来てくれるといいな」


「そうだな」


かねやんは、眉毛を寄せながら俺を見つめてる。


「拓夢」


「何?」


「誰かが、拓夢と凛さんの関係を暴露するかもしれない」


「誰かって、美沙だろ?」


「その可能性は、高いな!きっと、世間には叩かれるだろうけど…。そんな事がおきても俺は拓夢の味方だから」


「俺もだよ!」


「俺もーー」


みんなは、そう言いながらニコって笑ってくれる。


「ありがと」


「もし、それでデビュー出来なくなっても!歌うのは、続けような」


まっつんは、そう言って親指を付き出してグーとしてくる。


「ごめん。不倫なんかして」


「バーカ!何言ってんだよ!不倫だからって、やめろって言わなかった俺等も同罪だから」


「そうそう!拓夢だけが悪いわけじゃない」


かねやんとしゅんの言葉にまっつんは、大きく頷いてて…。俺は、涙を流していた。


「泣くなよ!じゃあ、やろうぜ」


かねやんは、ハンカチを俺に差し出してくれた。


「やるよ」


俺は、耳にイヤホンを入れてまた歌詞に向き合った。凛への想い、凛との日々、思い出しながら言葉を繋げていく。何度も、書き直しながら…。作っていく。


『出来た』


俺は、イヤホンを耳から外した。


「同時だったな!」


かねやんが、そう言って笑った。


「よかった!間に合って」


俺は、かねやんにグーと親指を突き出した。


「歌詞見ていいか?」


まっつんに言われて、俺は歌詞を見せる。


「拓夢の気持ちが伝わる歌詞だな」


「確かにそう」


「曲乗っけて、拓夢の声で歌ったら感動するな」


そう言って、まっつんは曲を再生した。


「どう?拓夢」


「イメージしてた通りのバラードだわ!何か、早く歌いたい」


「じゃあ、合わせながら調節するか」


「だな」


それから、俺達は夜の22時頃まで調節を繰り返していた。


「出来たー」


「いやー。いいじゃん。めっちゃいい」


「拓夢の気持ちが凄い伝わってきて、俺、泣いたわ」


そう言って、かねやんはポケットから取り出したティッシュで涙を拭っている。


「腹減らない?」


しゅんの言葉に、全員頷いた。


ブー、ブー



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る