寝ていた…

ピンポーン、ピンポーン


「何だろう」


どうやら、寝ていたらしかった。俺は、ベッドからゆっくり起き上がってインターホンをとった。


「はい」


寝ぼけた声を出した。


「よかったー、生きてた」


その声は、まっつんだった。俺は、玄関の鍵を開けに行く。


ガチャ…


「さっき、別れたばっかじゃん」


俺の言葉に、まっつんは驚いた顔をしている。


「どうしたの?」


「本当、疲れてたら拓夢はめちゃくちゃ寝るよなー!もう、九時だよ!朝の」


「はあ?」


俺は、バタバタとキッチンに戻ってスマホを見つめる。


「まじかー」


「疲れてたんだなー。相当」


まっつんの言う通り、次の日の朝の九時だった。そして、スマホの充電は13%だった。俺は、スマホを充電する。


「色々考える事あったからかもな」


「確かに、考え事あったら拓夢はめっちゃ寝るよな」


「そうだわ!昔から」


「ハハハ!気を付けなきゃな」


「だなー」


俺は、そう言いながら笑っていた。


「凛さんは、大丈夫だったよ!」


「本当か?」


「ああ、理沙に会ってきてもらったから!今の所は、大丈夫だった」


「ありがとう、まっつん」


俺は、まっつんを抱き締めていた。


「暑苦しいって!男同士はさ!」


「ごめん」


「何か、拓夢が俺とこんな風に普通にしてくれてんの嬉しいわ!」


「普通だろ?いつも」


「そうかな?美紗ちゃんと別れて暫くしてからよそよそしく感じてたけど!」


「そんな事ないから」


「なら、いいけど!取り敢えず、着替えて来いよ!11時に、平田君と待ち合わせしてるから」


「わかった」


俺は、服を着替える。昨日は、疲れていたようだった。こんなに寝るとか…。


「行けるか?」


「うん」


まだ、暑さが残ってる。


「雨降ったら寒いくせに!上がるとまだまだ夏だよなー」


「確かに」


俺は、まっつんと家を出る。昼間は、まだまだ暑い。


「後、昼間!まだ、暑すぎだよなー。秋何てなくなったのかなー」


「かもな」


まっつんは、鞄から扇子を取り出してパタパタと扇いでいた。


「何かそれかっこいいな」


「だろ?理沙が、くれたんだよ」


黒字に金色の線のような絵が描かれた扇子は、めちゃくちゃかっこよかった。


「俺も、扇子買おうかなー」


「買った方がいいよ!役に立つから」


「だよなー」


まっつんは、俺を扇いでくれる。


「凛さん、誘ったら?明日のライブ」


「無理だよ!旦那さんいるから、来れないよ」


「いいじゃん、一回誘ってみろって」


「いいのかな?」


「理沙と居たら、大丈夫だろ?」


「理沙ちゃんに言ったの?」


「当たり前だろ!彼女だし。あっ、ちゃんと相沢さんには聞いたぞ!事務所に直接かけた」


そう言って、まっつんは笑っていた。


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