彼女の告白…

平田さんの母親は、コンビニにつくと、お酒やおつまみを買っている。俺も、お酒を入れる。


「カゴ持ちますよ」


「別に、いいよ」


「一応、男だから」


俺は、平田さんの母親から買い物カゴを渡して貰った。ある程度入れ終わってレジに行く。


「お金」


「払うから大丈夫です」


俺は、財布を取り出してお金を払った。


「何か、ありがとう」


お会計が終わり袋詰めする時にそう言われた。


「気にしないで下さい。一人なんで!それなりに使えるお金があるだけです」


俺は、そう言って平田さんの母親が袋に詰めた商品を持つ。


「さっきから、ごめん」


「別に、気にしてないですから」


一緒に並んで歩く。


「見た目より、全然男らしいんだね」


「そうですか?」


「うん!星村さんに惹かれる理由。何かわかるよ」


そう言って笑ってる。平田さんの、アイドルグループにいそうな見た目とは違い。お母さんは、シャープな印象を受ける。そう、冷たそうって感じだ。だからって、不細工ってわけじゃない。

ホテルに戻ってきた!

平田さんの母親は、フロントから鍵を取ってくれる。部屋に戻る。


「冷蔵庫にいれる」


「はい」


平田さんの母親は、500mlのビールを一本残して冷蔵庫に冷やす。


「星村さんは、飲む?」


「いえ、珈琲で」


平田さんの母親は、袋から珈琲を取って渡してくれる。


「ありがとうございます」


「ううん」


そう言って、二人でソファーに腰かける。


「床に座ります」


「いいよ!別に…。飲んでいい?」


「どうぞ」


平田さんの母親は、プシュッとビールを開けて飲み出した。俺も珈琲の缶をカチカチと開ける。


「あのさ、聞いてくれる?」


「はい」


「こんな話したら、星村さんは軽蔑するだろうけど…。私ね!ずっと凛には死んで欲しかったんだ」


俺は、その言葉に固まった。


「ごめん、忘れて」


「何で、ですか?」


話を終わらせようとした平田さんの母親に尋ねる。


「私と凛の父親はね!高校からずっと付き合ってたの!私、彼の顔が凄く大好きでさー。絶対、彼の赤ちゃんが欲しかったんだ」


「はい」


「だけど、それは彼が居て欲しいだけでね」


「はい」


「彼がいなくなったら、いらなかった」


そう言いながら、ビールを飲む。


「二十三歳で結婚して、二人の生活を楽しんで、凛がお腹に出来たのは二十七歳の時だった。彼も凄く喜んでくれた。絶対に幸せにするって約束もしてくれた。なのにね…」


平田さんの母親は、目から流れる涙を拭いながら話す。


「彼、不倫してたの!凛が、産まれる前から…。本当は、知ってたの…」


そう言いながら、またビールを飲む。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る