考える

私は、拓夢との電話を終えて温くなったお茶を飲む。自分の事を酷い人間だと思っている。

早く終わって欲しいと祈り浮気さえして欲しいと思ったのだ。不妊は、心が荒むのだと改めて思っていた。


もし私が動物だったとして不妊だったらどんな気持ちになるのだろうか?ペットなら強制的に不妊になるわけで、それを当たり前に思って過ごすのだろう…。しかし、野生動物ならどうなるのだろうか?昔、未婚の猿が群れから外れた場所にいるって何かで見た気がするのを思い出した!!って事は、野生動物なら孤独しかないのか!!

結局は、子孫繁栄出来ないものは世界から抹消されていく運命なのだ。

それは、人間も動物も同じ事なのだ。


私は、あん団子を食べる。動物なら、ペットだけが不妊であっても許される対象なのだ。だったら、私も龍ちゃんのペットとして生きれば許される対象になるのではないのだろうか?


ペット?龍ちゃんのペットとは何なのだろうか?自分で思いながら、よくわからくなった。龍ちゃんが、別の誰かと新しい家庭を作っていなくなってくれたら、私はハッピーエンドになれるのではないか?


そんな悲しい事をいうなと思われるだろうが…。

昔の人は、そうしたのだと何かで読んだ事がある。三年出来なければいなくなるとか何とか…。


13年だ!昔なら捨てられていた。でも、捨てられる方がいいのかもしれない。私は、龍ちゃんにさよならを言えない。離婚していいと言いながら、龍ちゃん任せなのだ。自分から、離婚届を渡したくないもの。だって、龍ちゃんに対しての愛情はあるもの。赤ちゃんさえ望まなければ幸せだもの。


甘ったるくないここのあん団子が大好きだった。私は、それを食べながら泣いていた。頭の中を支配する問題は、裏切ったせいでさらに増えた気がした。だけど、それをやめたいかと問われたらやめたくなかった。泥々の沼の中を泳いで、いっそ溺れてしまっていいと思ったのだ。それは、龍ちゃんに抱かれた今余計に感じていた。拓夢に抱かれて、また頭の中をリセットしたい。繰り返し、繰り返し、そうすれば…。いつか、赤ちゃんがいなくても私達は幸せだよねって笑って言える日がくるきがするのだ。


私が男だったらどうしたのかな?ここまで、苦しんだのだろうか?むしろ、妊娠出来ないなら遊びまくってやろうと思っただろうか?嫌、そんな事はない。結局、子孫繁栄出来ないと苦しむのだ。だったら、最初からお前は子供が作れませんと神様が何かしらの印を体につけてくれていたら…。あー、出来ない体なのかと諦められたのではないだろうか?


頭を占めてる問題を結局一人で解決する事は出来ないまま、あん団子を食べ終わっていた。

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