第14話 同年代の級友

 周りの生徒たちが面白可笑しく話し込んでいる。大多数の生徒達には心に決めている部活がある者や、この部活紹介で意中の部を決めようと意気込んでいる者が多数だろう。

 生徒達のなか、俺は少し崩した体育座りでひんやりとした床に座り「ふう」と溜息を吐いていた。

 自身のクラスから体育館までは一度旧校舎をまたがないといけないため、少し距離がある。ただ溜息が出たのは歩き疲れたとか、そんな理由ではない。

 この学校にどのような部活があるのかは、事前に耳には入ってきていた。ただ現状入部したいと思うような部活はなかった。ましてや今回の部活紹介を通して、何かしらの部活に入れ、と間接的に言われているようなことも、あまり気が進まない理由の一つでもある。

 体育館の入り口に目を向けると今も続々と生徒たちが入ってきている。

この部活紹介を楽しみにしていたのか目を輝かせている奴、俺と同じように気だるそうな足取りで来るものなど様々だ。

「……」

 三人の女子たちが明るく話し込みながら歩を進めているのが何気なく目に入った。

「目立つよな、やっぱり」

 その中ひとりの同じクラスの女子、彼女の姿が目に入るなり自然と言葉が出た。

 並んで歩く同級生たちは、絵にかいたような和気あいあいとした会話のキャッチボールを楽しんでいる。

 同級生らしく、互いに分け隔てなくやり取りをしているようだが、はっきりと透きとおるような口調で話している「彼女」からは周りからの会話を受け流しているような印象を受ける。普段の言動は特殊だがどこか周りを達観しているような感覚も覚える女子。

 他クラスの女子たちを見ると、遠巻きに容姿の良い男子を見て喜んでいたりしている。まあそういうのが普通の女子だよな。

「百代が気になるのか?」

 近くにいた米登が自身の視線に気づいたからか声を掛けてきた。なんだ、そのにやけた面はと言いたくなる。

「別にお前が考えているようなことじゃないぞ、目立つ奴だから目に入っただけだ」

 俺の言葉を聞いて米登は若干つまらなそうな表情を浮かべた。

「まああいつは注目の的になるだろうな、見た目も行動も目立つし」

 恐らく米登もクラス発表での百代の噂が耳に入っていたのだろう。入学式を終えたばかりの生徒達にとって、同学年にどんな生徒がいるのかは今の時期、特に気になる事だろうからな。

 俺の耳にもそういったうわさになるような人物の名前が数人くらいは聞こえてくる。あのクラスにすごい美人がいるだとか、女子の注目を浴びるような格好の良い男子がいるだとか。

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