明
夏休みが明けた。
怒涛の休みが終わりいつも通りの学校生活。
なんだか物足りないし、詰まらない。
元々学校も勉強も好きでは無い。
勉強は分からないし課題は終わらないし。
僕はすぐに諦めてしまうし。
やろうという気持ちはあるのだ。行動できないだけで。
現に、今日だって初日の授業を頑張ろうとしたが午前中を全て睡眠に費やした自分に嫌気が差しただけなのである。
ただ、少しよくなかった。
嫌気が差したから、誰かに慰めてもらおうと思った。
仲の良い部活仲間に。恋人に。
でも、今日は間違いだった。
僕だけ階が違う、そんなことは理解しているのだ。いくら部活仲間と言えど僕なんかのために上がってこようとする人間はいない。
分かっていた、分かっていたから、まだ大丈夫だった。
誰もいなかった。
それぞれの教室に行ったが、誰も。
昼休み以前の会話でお昼ご飯を買いに行く話はあったから、ああ。と納得して、なんだか居づらくて逃げた。
敢えて購買の飲食コーナーの前を通り、やっぱりな。と確認して過ぎる。
8月も後半とはいえ、まだ暑い。ジメジメとした空気は気持ち悪かった。
僕の名前が聞こえた気がしたが、聞かなかったことにする。
購買の本コーナーを眺め、いい空気だなあ〜なんて思いながら。昼休みを過した。
なんとなく気分は下がったままで、授業を受ける気にもなれず、外のベンチで持ってきた本を読むことにした。
蚊に大量に刺されたが、あまり気にならなかった。
選書も間違えたと思った。
何でこんな時に限ってピュアな恋愛作品を持ってきたんだ。僕は。
「まともな恋愛をしてないのは可哀想」
そんな言葉が紙を突破って僕に刺さる。
もう、どうでもいいや。なんて気持ちで紙を捲る。
そんな状態でも考えているのは恋人の事なんだから、大好きなんだなあと自分でも感じる。
たった1冊の文庫本を読み終わる頃には2時間も経っていた。
最後の移動教室だけ提出物があるため出席し、部活へと向かう。
恋人からの「拗ねてる?」の言葉。
拗ねてると言ったら拗ねているのかもしれないが、自分の感情すら今はよく分からない。
「今日ね、5、6時間目サボった」
へらっとわらい、そう告げる。
なんとなく、伝えてみたくなった。どんな顔するのか、見てみたかった。
「は?また私に言わずに勝手に……」
だって、君はみんなとご飯を食べて談笑していたから、その中に割って入るなんて僕には無理だったよ。
「ねえ、どこに居たの?」
あは、どこだろーね。
君も一瞬見えたとは思うけど、流石に昼休みで帰ったと思ってたかな。
なんだか、全てにおいてやる気が出ない。
そんな僕のせいだろうな。
帰りの電車で全く話してくれなかった。
イヤホンを両耳につけてたから、きっと話しかけられるのも嫌なのかなとか、なんだか気まずいまま、「ばいばい」の言葉すらかけることが出来ずに別れた。
別れた後にLINEで「嫌いにならないで」なんて言葉を打ったが、あまりにも身勝手だったから送信を取り消した。
代わりに「すきだよ」とか、結局裏にぐちゃぐちゃとした感情を乗せた言葉を残した。
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