方言の可愛い中二病美少女をからかうのは犯罪ですか?いいえ、合法です。
岡田リメイ
第1話 からかわんで!
「
俺──
黒いショートカットに青色と赤色のオッドアイ。指を広げた手の平で顔を覆い、絶妙にダサい決めポーズを作る少女。
彼女は隣の席の
自分の名前が気に入ってないのか、名前で呼ぶと怒られる。
変な言葉遣いをしているが悪い奴じゃない。
顔もかなり可愛く、人気がありそうなのだが、変な言葉遣いのため皆に距離を取られている。
因みに赤色の瞳はカラコンを入れているらしい。
「今日提出の課題か? 勿論終わっているぞ」
「我は翼を痛め暫し休息していた。従ってルーン文字の解読が出来ていない」
「英語の翻訳やってないのか? やっちまったな」
「このままではラグナロクに参加出来ず、神の裁きを受け我は
どうやら神宮寺は英語の課題をやり忘れたようだ。提出は昼休み明けの五限なので、誰かに見せて貰えれば間に合うだろう。
まぁ、最終的には見せてあげるつもりだが、普通に渡しても面白くない。
少し可哀想な気もするが、からかってみるか。
「そうか大変だな。まだ時間あるし頑張れよ」
「わ、我が盟友明人よ、我はマナを取るための準備がある。故にルーン文字の解読は刻一刻を争うのだ」
「急げば間に合うぞ、頑張れ神宮寺!」
「あ、あ、明人よ汝のルーン文字を我に継承してはくれぬのか?」
「すまん神宮寺。何て言ってるか分からない」
「な、な、な、盟友よ! 我と汝は
「何を言ってるんだ? 俺、購買行ってくるから英語の課題頑張れよ」
俺はカバンの中から財布を取り出して、席を立つ。
そのまま教室の外へ出ていこうとした時、神宮寺が口を開いた。
「明人くん......何でそげん酷かこというと......」
神宮寺は自分の英語のノートを握りしめ、プルプルと震えている。
「どうした神宮寺?」
「見しぇてくれたっちゃよかとに! 何でうちばからかうと!?」
頬を膨らまし、怒りを露にする神宮寺。
彼女の身長が小さい所為か、はたまた方言の所為か全く怖くない。
彼女には申し訳ないが、むしろその姿が愛らしいと思えてしまった。
「な、何で笑いよーと!?」
「ごめん、ごめん、神宮寺。俺が悪かったって。英語の課題は見せるから許してくれよ」
俺はあらかじめ机の上に用意してあった英語のノートを神宮寺に渡す。
神宮寺は口をポカーンとさせて俺のノートを受け取った。
「まだ間に合うだろ? 分からない所があったら聞いてくれて良いからささっとやっちゃいな」
「さ、さすが我が盟友、汝のルーン文字しかと受け継がさせて頂こう」
神宮寺は口調を戻し、ノートを書き写し始める。
書いている途中にふと、ペンを止め恥ずかしそうにこちらを向いてきた。
「どうした? 分からない所でもあったか?」
「いや......その......ありがと」
神宮寺はボソッとお礼の言葉を呟いた。
時折見せる彼女の素直さにドキッとする。
ちょっと変な言葉遣いだが、お礼の言える良い奴でもある。隣の席の住人として彼女ほど面白い奴も居ないだろう。
「どういたしまして、頑張れよ花子」
「あー明人くん! うちん事、花子って言うた!もう明人くんなんて許しちゃらん!」
からかいがいのある奴だ。
俺の右腕をポカスカ叩く神宮寺を見ながらそう思うのだった。
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